「昨年6月に太陽生命が発売した『がん・重大疾病予防保険』は、がんと診断確定された場合、最高2千万円の一時金が受け取れる保険。その金額の大きさには、正直私も驚きました」
と話すのは、『NEWよい保険・悪い保険2022年版実名ランキング』の共同監修などでおなじみの“保険のプロ”長尾義弘さん。
それまで、がん保険の一時金でもっとも高額だったのは、同年4月発売のオリックス生命「がん保険Wish(ウィッシュ)」の最高600万円。ほかのがん保険の一時金は100万円程度が一般的だった。
「今年11月には、一時金最高800万円の三井住友海上あいおい生命『&LIFEガン保険S(スマート)セレクト』も登場。高額一時金をメインとした新たながん保険が増えている大きな要因は、がん治療の進歩です」(以下・コメントはすべて長尾さん)
これまで、がん保険といえば、基本は「診断一時金」+「入院・手術給付金」+「特約」の組み合わせがほとんど。ところが、これが実際のがん患者が必要とするものとズレ始めているというのだ。
「まず図(1)を見てください。がん治療の進歩で、年々、入院日数が減少しています。以前は手術が中心だったため、入院期間が非常に長くなりました。しかし近年は多様な治療が行われるようになり、手術はせずに抗がん剤治療と放射線治療だけというケースなどもあります。通院での治療も増え『入院・手術給付金』をメインとする保険では出費をカバーしきれないんです」
つぎに、がんになると収入が減ってしまう現実も深刻だ。
「図(2)を見ると、がんと診断された人の年収は約20%も減少。その理由を示したのが図(3)で、がんの通院治療などで休職したケースが35%、退職した人も25%に上ります。つまりがんになると、長期の抗がん剤治療とその副作用などで、いままでどおりに仕事を続けられなくなる人が多いのが実情。その収入減にがん保険の一時金は心強いサポートです」