電車、バス、タクシーなど“生活の足”に値上げラッシュが押し寄せている。
「コロナ禍でテレワークが浸透し、移動需要に変化が出ています。最近人出が戻ってきたとはいえ、コロナ前の混雑には程遠い状況です」
そう話すのは交通技術ライターの川辺謙一さんだ。
すでに一部のバス会社や一部地域のタクシーでは値上げが始まっている。鉄道会社も、来春には続々と運賃が上がる予定だ。
「鉄道会社にすれば乗客が減っても、運行は止められないので経費は変わらない。営業利益は大きく減ってしまったでしょう。とはいえ、利用客の減少、つまり売り上げの減少を理由に値上げしたいとは言いづらい。利用客の理解も得られにくいでしょう。そこで、ホームドアの整備などバリアフリー対策を進めるため、その費用の一部を利用客にも負担してもらうというのが、多くの鉄道会社が来春の値上げを行う大義名分です」(川辺さん・以下同)
増税以外の理由で、JRが値上げするのは30年以上ぶりだ。
「公共交通機関のなかでも、特に鉄道は安易に値上げできない仕組みがあります。国土交通省に値上げの申請をし、自動改札機の更新などに半年~1年ほどかかります」
次の値上げリストにも、鉄道値上げは来年以降の予定がずらりと並ぶが、バスやタクシーは近々の予定が並んでいる。