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「地域新電力」が危機的状況に陥っています。

 

地域新電力とは約700社ある新電力会社のうち“エネルギーの地産地消”を掲げて立ち上げられた電力会社です。地域の電力会社が、その地域で再生可能エネルギーをつくり、電力を供給することで、特定の地域の中で経済が循環する仕組みを目指しています。

 

なかでも自治体が出資をする自治体新電力に、朝日新聞などが行ったアンケート(’22年12月)では、エネルギー価格の高騰で9割以上が「経営に影響がある」。そのため、8割以上が「新規受付や営業自体の停止」に追い込まれていると回答しているのです。

 

新電力の多くは自前の発電所を持たず電力の卸市場から買っています。地域新電力も、自前でまかないきれない分は市場に頼っています。’21年の秋以降、原料である液化天然ガスなどの高騰によって卸市場の価格の高騰が続き、販売価格の引き上げで利用者が離れ、危機的状況の新電力が多くなっているのです。

 

■来年の電気代は1万円超えを覚悟しよう

 

地域新電力は実際に電力をつくり、環境負荷の軽減を担う大切な存在。ですから応援したいのですが、このままでは利用者の家計が心配です。一度、大手電力と電気料金を比較してみましょう。

 

たとえば東京電力では、標準家庭で’21年12月は7485円でしたが、’22年12月には9126円。単純計算で約1.2倍、20%上がっています。地域新電力を利用する人はこれより電気料金が高い、または値上げ率が高いなどがあれば、電力会社の乗り換えを検討しては。

 

電気料金を「エネチェンジ」サイトなどで比較したら、電力会社の乗り換えは新しく契約したい会社に電話一本かけるだけ。現在契約中の会社に解約の連絡は不要です。

 

ただ、契約中の電力会社が倒産しても、いきなり停電することはないのでご安心を。電気は地域の大手電力会社から供給されます。

 

’23年1月からはどの電力会社と契約していても、国の補助が入るので電気料金はいったん落ち着くでしょう。ただ、東北、中国、四国、沖縄の大手4電力が、すでに’23年4月以降の3~4割の値上げを申請していて、東京電力も申請を準備中といわれます。

 

’23年からの補助は2割の値上げ分を国が肩代わりする想定で、4月以降の値上げには追い付きません。先の標準家庭でも4月以降は、補助を差し引いても1万円超を覚悟したほうがいいでしょう。

 

となると自己防衛、節電するしかありません。暖かい衣服を1枚多く着込むなどして、エアコンの設定温度を見直しましょう。環境省の推奨は20度です。

 

また以前、節電といえば「こまめに消す」ものでしたが、最近の家電は立ち上がりに大きな電力がかかるため「つけっぱなしがよい」ものも。新しい常識も取り入れて、節電に励みましょう。

 

【PROFILE】

荻原博子(おぎわらひろこ)

身近な視点からお金について解説してくれる経済ジャーナリスト。著書に『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)、『50代で決める! 最強の「お金」戦略』(NHK出版)など

経済ジャーナリスト

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