「本来であれば、体も心もいちばんくつろげるはずのわが家で、なぜか“くつろげない”“疲れがとれない”という相談者さんが多くいました。そうした相談者さんの家を見ているうちに、住んでいるだけで疲れる家には共通の特徴があることに気づいたんです」
そう指摘するのは『片づけの力』(KADOKAWA)の著者で、300軒以上の家の片づけに関わってきた、整理・収納アドバイザーのFujinaoさんだ。
蒸し暑いなか、くたくたになって帰ってきたら、余計に疲れる……。そんな“疲れる家”は、50代以上の読者世代にとって人ごとじゃないそう。
「特に50~60代は、ものがあることに価値を感じている世代。人生分の荷物をため込み、しかも手放せない人が多いんです。こうしたものの多さが疲れる一因です。あふれたものを床に置きっぱなしにして、歩く動線の障害になっていることも。日ごろから、ほどいていない宅配の段ボールをよけて歩くのが習慣になっている人もいます」(Fujinaoさん、以下同)
さらに、疲れる家は、「見る」「聞く」「嗅ぐ」など、五感に入ってくる情報が不快だというのも特徴だという。
それでは、疲れる家の5つの特徴を見ていこう。
【1】目や耳からの情報量が多い
「『ただいま』と帰宅すると、玄関には靴が脱ぎっぱなし。リビングには、色や形のバラバラな収納ボックス。干しっぱなしの洗濯物などありませんか? まず目から入る情報量が多いと、脳に入る情報量が増えていきます。文字、形、色などの情報が絶えず意識の片隅に入り込み脳を酷使すると、そこにいるだけで疲れるのです」
耳から入る情報量も重要だ。
「テレビ世代の50代以上は、家に帰るとテレビをつけっぱなしにする人も多い。これも耳の情報量が増えて疲れの原因になります」
【2】部屋に圧迫感がある
「50代以上の家には、和ダンスをはじめ、本棚や食器棚など、背が高いうえに重厚な家具が多くあります。これが、圧迫感となり、心を乱します」
近年よく見る、天井まである収納棚も同じだという。
「圧迫されているだけで疲れますし、地震のときに、『落ちてこないかな』と、精神的な不安も常に抱えることになります。やはり空間は広いほうが疲れません」