“国民的野菜”になるブロッコリー 「筋トレだけではなく、寝たきりの防止にも期待」と栄養士指南
画像を見る 我らのブロッコリー!(写真:K321/PIXTA)

 

■紫がかったものはお宝ブロッコリー

 

「ブロッコリーには筋肉量を増やす以外にも、期待大の健康効果がいくつもあるんです」

 

まずは「高い抗酸化力」。たしかに抗酸化作用のあるビタミンCの、ブロッコリー100グラムあたりの含有量は、同重量のレモンをも上回る。さらに……。

 

「ブロッコリーなどアブラナ科の野菜は、がん抑制効果があるとされますが、それは解毒作用や抗酸化作用の高いスルフォラファンを含んでいるからです」

 

スルフォラファンというと、同じブロッコリーでも、その新芽であるブロッコリースプラウトが注目を集めているが……。

 

「スルフォラファンの含有量だけを見れば、確かにスプラウトに軍配は上がります。でも、成育したブロッコリーは緑黄色野菜でもあって、皮膚や粘膜の健康を保つなどの働きをするベータカロテンも豊富に含みます。

 

また、季節によっては花蕾のところが紫色になったブロッコリーが店頭に並びますが、これはポリフェノールの一種で、目の老化防止などに効果のあるアントシアニンが含まれている証し。見つけたら、即購入することをすすめます」

 

「野菜の王様」と呼ばれるだけのことはある“栄養の宝庫”ブロッコリーだが、赤石さん曰く、調理のしかたひとつで、その効果が台無しになってしまうことも……。

 

「ゆでてしまうのが、いちばん損な調理法です。水溶性のビタミンCやビタミンB群は、含有量の半分がゆで汁のなかに流出してしまうんです。筋肉量維持を主目的にするのなら、ゆでたブロッコリーでは意味がありません」

 

赤石さんは「あまり高温で処理することも、すすめない」と話す。

 

「スルフォラファンを体内に吸収するためには、ミロシナーゼという酵素の働きがカギ。ですが、この酵素は熱に弱いため、高温で調理するとスルフォラファンの効果が薄まってしまうんです」

 

では、野菜の王様の栄養を余さずいただくには、どのような調理法がいいのだろうか。赤石さんは「それは低温蒸し、一択です」と言葉に力を込めた。

 

「まず、ブロッコリーの株を食べやすい大きさにカットしたら、そのまま5分間放置。この間に、ミロシナーゼとスルフォラファンが混ざり合い活性化します。次に、鍋の蓋をずらした状態で5分ほど蒸す。蓋をずらすことで、鍋内の温度は70度ほどに抑えられます。ゆっくりと加熱することで、甘味もグッと増しおいしくなる」

 

蒸し上がったブロッコリーは、マヨネーズなど油分と一緒に食べるのがおすすめだ。

 

「ベータカロテンは油分とともに摂取しないと、その吸収率は10%以下になってしまうんです」

 

また赤石さんは、「食べきれなかったものは、クリームシチューに投入しては」と提案する。

 

「クリームシチューなら、乳タンパクも一緒に摂取できるので、筋肉量維持につながります」

 

野菜の王様・ブロッコリーをおいしく食べて、死ぬまで歩ける健康を手に入れよう。

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