「家庭で天ぷらなどを揚げた後の食用油が飛行機を飛ばすって、すごいこと。脱炭素につながっていくことを多くの方に知っていただき、食用油の回収にご協力いただきたい」
3月24日、羽田空港内のJAL格納庫で開催された「国産SAFの取り組み拡大に向けた発表会」で、東京都の小池百合子知事は、カーボンニュートラル達成に向けた廃食用油回収の必要性を訴えた。
「SAF(サフ)」とは、“持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel)”のこと。
廃食用油や植物由来のエタノールなどを原料とするSAFは、石油から作る航空燃料に比べ、CO2排出量が80%程度削減できるという。大気中のCO2を増やさず、従来の航空燃料と同じように使えるエネルギー源であることから、いま世界中で注目されている。
「政府は、2030年までに国内の航空会社が使う燃料の1割(年170万キロリットル)をSAFにする目標を掲げています。しかし、国内で廃食用油を効率的に回収する仕組みは、まだまだ整っていないというのが実情です」(全国紙社会部記者)
全国油脂事業協同組合連合会(全油連)の資料によると、SAFの原料となる廃食用油は、国内で年間50万トン発生。そのうち事業系(飲食店、事業者など)から発生する40万トンのうち12万トンは海外に輸出され、外国企業がSAFを製造する際に使用されている。残る10万トンは家庭から発生したものだが、ほとんどが廃棄されている。