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総務省によると、ふるさと納税の寄付額が2023年度は1兆1千175億円となり、初めて1兆円を超えました。4年連続で過去最高額の更新です。 また、ふるさと納税の利用者も約1千万人で過去最多。住民税の納税者は約6千万人ですから、6人に1人がふるさと納税を利用したことになります。

 

大人気のふるさと納税ですが、6月25日に総務省が、「2025年10月からポイントを付与するサイトからの寄付募集を禁止」したことで物議をかもしています。

 

背景には「ふるさと納税サイト」と呼ばれる仲介サイトの乱立があります。私たち寄付者は仲介サイトを見て寄付先を選ぶことが多いのですが、昨今、寄付額にポイントを付ける仲介サイトが増えています。総務省は、ポイント付与の原資を自治体が負担しているのではないかと問題視しているのです。

 

寄付者にとってふるさと納税は、控除上限までなら2千円の自己負担で地方の特産品などがもらえるお得な制度です。自治体にとっては税収入が増え、特産品などの知名度アップ、流通量の増加、町おこしにもなる。双方によい制度だと思います。

 

■アマゾン参入の情報が流れ、激化した競争を抑えるために

 

ただ寄付者に選ばれるために、自治体は仲介サイトで目立つことが重要です。そこで、仲介サイト業者は料金に応じて大きく取り上げるなどさまざまなプランを用意。多くの寄付を獲得したい自治体の経費がかさむ一因となっています。

 

これらに歯止めをかけようと、

 

2023年10月からは「経費5割以下」というルールが厳格化されました。経費5割のうち3割は返礼品で、残り2割で配送料や事務費用、仲介サイトの利用料金などの経費をまかなうとするものです。

 

そんななか「2025年春にアマゾンがふるさと納税に参入か」との情報が流れました。さらなる競争の激化や経費の高騰を抑えようと総務省が出した次の手が、事実上の「ポイント付与禁止」なのです。

 

これに楽天グループは「ポイントは自社が負担している」と猛反発。100万筆を超える反対署名も集まっているようです。

 

私は総務省のやり方がまずいと思います。ふるさと納税は通常の商取引ではなく、税金を使った事業です。ポイントうんぬんといった細かい規定ではなく、国が仲介サイトの料金を規定すればいいのです。現状のデータを取り「寄付額の〇%」などと適正な料金を決めれば、自治体の費用が規定以上にかさむことはありません。自治体間の競争も落ち着くでしょう。

 

また、仲介サイト業者がポイントを付与したいなら、規定の料金を守ったうえで、つまり業者の自腹で行えばいいのです。

 

1月に起きた能登半島地震では返礼品なしのふるさと納税が数十億円集まったといいます。“ふるさと応援”の趣旨に立ち戻り、自治体が十分に活用できるふるさと納税を、総務省には改めて問い直していただきたいものです。

経済ジャーナリスト

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