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火災保険の保険料が10月から、大手損保4社などで値上げされました。近年の豪雨など自然災害の増加で保険金の支払いが増え、保険会社の収益が悪化したことがおもな理由といわれています。

 

今回の値上げは平均1割と高く、さらに値上げは直近5年間で4回目。その間に保険料は約4割上昇して、家計には大きな負担です。

 

そもそも火災保険は、「損害保険料率算出機構」が保険会社から収集した保険金支払いのデータなどから算出する「参考純率」を基に保険料を決めます。今回の値上げも、2023年6月に参考純率が全国平均で過去最大となる13%引き上げられたことによります。

 

また、今回から初めて「水災料率の細分化」が導入されます。

 

火災保険料は建物の構造や所在地などでリスクを分け保険料が異なりますが、これまで水災リスクについては全国一律でした。今後は市区町村単位で、リスクの低い1等地からリスクが高い5等地に分類します。判定基準には、河川の氾濫など「外水氾濫」だけでなく、集中豪雨などで下水道の処理が追い付かず排水管が逆流するなどの「内水氾濫」や、大雨による「土砂災害」などを加え、5等地の保険料は1等地の約1.2倍になるようです。

 

■人件費のかからないネット保険がおすすめ

 

火災保険は長期契約が多いため、いますぐ保険料が上がる方は少ないでしょう。ですが、次の更新のタイミングで、相当な値上げを実感するケースが多いと思います。

 

かといって「もう加入しない」などと急いで結論を出すのは危険です。ハザードマップなどで自宅付近のリスクをよく確認し、慎重に考えてください。

 

少しでも保険料を抑えるために、できることを紹介しましょう。

 

まず、長期契約がおすすめです。最長の5年契約なら多くの場合、1年ごとの契約より保険料が1割ほど安くなります。

 

次は、保険会社の経費に注目しましょう。保険料とは、先述の参考純率を基にした「純保険料」に、保険会社の経費を「付加保険料」として上乗せしたものです。

 

純保険料は保険会社による大きな差はありませんが、付加保険料は違います。一般的に、社員をたくさん抱える大手の保険会社より、ネット上で契約を行うネット保険会社のほうが、人件費などの経費が安くなります。つまり、保険料はネット保険のほうがお得です。

 

ネット保険ならネット上で見積もりが取れるため、他社との比較も簡単です。同じ補償内容で見積もりを取り、できるだけ保険料の安いところを選ぶといいでしょう。

 

最近は「マンションの高層階に住んでいるから水災補償は不要」など、必要な補償だけにカスタマイズできる保険も増えています。必要度の高くない補償をはずすことでも保険料が節約できます。

 

近年は“10年に1度”クラスの災害が頻繁に起きています。家族で、災害時の避難先や連絡方法などを話し合っておきましょう。

経済ジャーナリスト

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