年金受給の納付期間短縮にみる「政府の思惑」専門家が指摘

投稿日: 2017年05月26日 11:00 JST

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「今年8月から『10年短縮年金』が始まります。これまで、公的年金を受給するには25年以上の納付期間が必要でしたが、8月以降は10年に短縮されます。昨年11月に改正法が制定されました。実際に、年金が受給できるのは9月分からで、入金は10月です。対象者の約74万人には、順次、手続き書類が郵送されています。受給には、年金事務所などでの手続きが必要ですから、早めに済ませましょう」

 

こう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。これまで年金をもらえなかった人でも、要件を満たせば年金を受け取れるようになる、10年短縮年金。ただし、「国の思惑は、年金問題の解消とはまた別のところにある」と荻原さんは言う。そこで荻原さんが、10年短縮年金を解説してくれた。

 

「国民年金の受給額は、年金保険料を納めた期間によります。40年間保険料を納めた人は、現在、満額の月約6万5,000円を受け取っています。これに対し、納付期間が10年の方は、満額の4分の1、月約1万6,000円の受給となります。存命中はずっと受給できますから、まったくないよりはいいでしょうか。もちろん、納付期間が15年、20年などと長い方は、納付した期間に応じて年金額が増えます。さらに、厚生年金に加入していれば、その分、上乗せされます」

 

反対に、納付期間内に免除や猶予があった人は、もっと少額になることも。加えて、納付期間が10年に満たない人でも、未納分の後納や免除分の追納など、今からでも納付期間を増やして受給できる方法が見つかる場合もあるので、年金事務所に相談を。

 

「今回の年金改正は一部で『無年金対策法』と呼ばれてきました。まさに今、“無年金”が問題になっています。昨年末時点で、国民年金の納付率は61.5%(厚生労働省)。約4割の未納者には、“無年金予備軍”も含まれるでしょう。また将来、『118万人が無年金になる』との推測もあります(’08年・厚生労働省)。無年金で老後資金が尽きると、生活保護を受給するしかないケースも多いと思います」

 

現在、生活保護を受けているのは約164世帯だが、その半数以上は高齢世帯だ(’17年2月・厚生労働省)。

 

「政府は、多少なりとも年金を支給することで、生活保護の増加に歯止めをかけたいのでしょう。というのも、生活保護にかかる国の予算は’16年度で約3兆8,000億円と大きいものだからです。財政が厳しいなか、支出を抑えたい気持ちはわかりますが、切り詰めるべき予算は、ほかにあるのではないでしょうか。生活保護費は、命や生活に直結するお金ですから、むちゃな締め付けを見逃してはいけないと思います」

 

 年金財政の逼迫を受け、これまで(1)年金保険料の引き上げ、(2)受け取る年金額の引き下げ、(3)社会保険加入者の増員、(4)支給年齢の引き上げなどの対策が取られてきた。

 

「先週、自民党は、年金支給を遅らせて受給額を増やす『繰り下げ』を、現行の70歳までから、71歳以降も可能にするよう提言しました。また、今年初めには、日本老年学会が、現在『65歳以降』とする高齢者の定義を、75歳以上とするよう求めたことも話題になりました。外堀から埋めて、年金の支給年齢を現行の65歳から67歳、あるいは68歳へと引き上げたい、という政府の思惑が見え隠れしています」

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