「千恵子氏は自分が“正しい”と思ったことを周囲にも“正しい”と言わせる性格で、息子の直哉氏(41)ですら『これが塚原千恵子だから』と言うくらい、頑固です」

 

こう明かすのは、“疑惑の夫婦”を昔からよく知る日本体操協会の関係者だ。16年リオ五輪体操女子日本代表の宮川紗江選手(18)に名指しでパワハラ疑惑を告発された、日本体操協会の“女帝”こと塚原千恵子女子強化本部長(71)と夫で協会副会長の光男氏(70)。

 

8月29日の会見で、宮川選手は恩師である速見佑斗コーチ(34)の暴力指導を証言するよう塚原夫妻から執拗に求められた上、「五輪に出られなくなるわよ」と脅されたと主張した。

 

だが、その“勇気の告発”から一夜明けた30日、自宅前で報道陣に囲まれた光男氏は「(会見の内容は)全部嘘!」と言い放ったのだ。その後、代理人弁護士を通して報道各社に書面を送付。この書面では一部の発言が不適切だったと認め謝罪したものの、千恵子氏も夫と足並みを揃えて「宮川選手の発言には嘘が多い」と反論した。さらには一部スポーツ紙の取材に対し、強い口調で「こんなの言ったもん勝ちじゃない!もう黙ってないわよ!」と怒りをあらわにしたという。

 

そんな“女帝”の存在を恐れてか、本誌が取材を申し込んだ現役選手やOB・OG協会関係者の多くは一様に口を閉ざした。ツイッターで宮川選手にエールを送った元「朝日生命」所属の鶴見虹子選手(25)でさえ、本誌直撃には「この件について話すのは事務所に止められているんです」と答えるしかなかったほどだ。

 

そうしたなか「匿名なら」と重い口を開いてくれたのは、女子体操選手の母親だ。

 

「09年、千恵子先生は2年後のロンドン五輪に向けた“22カ月合宿”を企画したんです。選ばれた中高生の女の子たちは今通っている学校を一旦辞めて、2年間缶詰めにされるというものでした。千恵子先生は『体ひとつで来なさい』とおっしゃるんですが、『五輪に出るためとは言ってもねぇ』と躊躇する親御さんがほとんど。みんな『合宿が終わったら、朝日生命クラブに行くしかないのね』と戦々恐々としていました」

 

女子体操関係者によると、塚原夫妻のクラブから独立した選手は、練習場所を制限されることもあったという。冒頭の協会関係者は、塚原夫妻の“独裁政権”に対し何もできなかった自身の無力をこう悔やむ。

 

「千恵子氏は私たち末端の人間が何を言っても聞く耳を持とうとしません。反旗を翻したところで選手たちにシワ寄せが行くと案じて、今まで何も言えなかった。協会の大人たちが何もできなかった状況のなかで、下から打ち崩そうとした宮川選手はすごい。これを機に体操界がクリーンになることを願います」

 

会見では凛とした表情で「まだ18年しか生きていないが、人生の中でいちばん勇気を出している」と声を振り絞った宮川選手。

 

この勇姿に感化され、ロンドン五輪代表の田中理恵(31)ら多くの元代表選手が立ち上がっている。ロス五輪金メダリストの森末慎二氏(61)も、本誌にこんなコメントを寄せてくれた。

 

「一石を投じた宮川選手を少しでもサポートできればという気持ちはあります。同じように多くの体操関係者が支持を表明し始めていますが、これまではできなかったんです。今後も彼女に賛同する人は増えていくと思います」