【前編】「こんなに強くなるなんて」りくりゅうの恩師が明かす五輪で目撃した“三浦璃来の進化”と恩人支援者が明かした“今後”から続く
2019年7月。中京大アイスアリーナで行われたペア強化を目的とした連盟のトライアウトに、当時17歳の三浦璃来(24)が参加した。そこに、26歳になっていた木原龍一(33)も手伝いとして駆り出されていた。
そのリンクサイドには、のちに2人のコーチとなるブルーノ・マルコット氏(51)の姿も。連盟の招きで、カナダから来日していたのである。
三浦が小5のときから指導に当たっていた元ソルトレークシティー五輪代表の本田武史さん(45)は、旧知の仲であるブルーノ氏の付き添いのような感覚でそのリンクを訪れていたという。
「ブルーノは選手時代からものすごくポジティブ。コーチとしても厳しさで追い込むというより、熱くて明るく、選手とよくコミュニケーションを取る。そして、研究熱心で、どうすれば世界で戦えるかをつねに考えている人でした。そんな彼が、トライアウトが終わった後、龍一と璃来を組ませることを提案してきたのです」
三浦は「わかりました」と応じ、木原と一度組んでみることになった。時間にして、わずか15分ほど。しかしその短い時間の中で、本田さんは異様なほどの相性のよさを目の当たりにした。
「初めて組んだのに、ぎくしゃくするところがほとんどない。ツイストの高さもスピードも、世界のトップペアに近いものがありました。あれは本当に奇跡的な15分だったと思います。とくにシングルツイストリフトを行うと、璃来の体は高く上がり、滞空時間も長くてスムーズでした。それを見たブルーノは、『世界で戦えるのは、この2人しかいない』と小声で繰り返していました」
ブルーノ氏に請われた本田さんは、高校生だった三浦の母親に会いに行った。木原と組み、ブルーノ氏が指導するカナダへ渡る必要があることを伝えるためだった。
本田さんが語る。
「僕のやることは、ブルーノが『五輪でメダルを狙うためには、2人が組むべきだ』という言葉を伝えることでした。英語も生活も不安があるでしょう。でも本気でペアをやるなら、これまでのように夏休みだけ海外へ行って、短期間だけ練習するというやり方では中途半端になってしまうと。そして、最終的に決めるのは璃来、あなたなんだよとも言いました」
