「私たちは『1億総中流』の時代に育ちましたが、日本は今や『格差社会』。『子どもの6人に1人は貧困』(’14年・内閣府)が悲しい現実です。そんななかで、年収がそれなりに高くても貯蓄がない『隠れ貧困』が増えています」
そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。なかでも、バブル時代に青春を謳歌した50代の人は、「ワンランク上」に弱く、プライドを守るために見えを張り、隠れ貧困に陥る傾向があるそう。
いっぽう、バブル崩壊後の「失われた20年」に就職した人も厳しい時代を堅実に生きてきた思いが、子どもの教育へと向かい、塾や習い事が増え、出費が膨らみがちだ。加えて、住宅ローンや月々の赤字の補てん、帰省費用などでボーナスが消えていき、貯金できない年が多く、質素な生活でも家計は年々苦しくなるばかりだという。
「その原因のひとつに、増税や社会保険料の上昇などによる給料の手取り減少があります。’00年代は毎年のように負担が増え、すべて合わせると、平均的な家庭で年間約50万円にのぼります。その分、手取りが減りますが、会社員は月々の給料から天引きですから気付きにくいのでしょう」(萩原さん・以下同)
また、会社で使える経費減少もあり、62.4%の世帯が「生活が苦しい」と感じている(’14年・厚生労働省)。
「年収が高くても貯蓄ができない隠れ貧困の存在は、’15年の日本銀行の調査でも明らかです。年収300万円未満の方の42%は貯蓄ゼロ。これは致し方ないとしても、年収1千万〜1千200万円未満で貯蓄ゼロが13.5%。1千200万円以上でも、11.8%の方は貯蓄がありません」
隠れ貧困は、人ごとではない。ごく普通の、しかも一見裕福な家庭に蔓延している。そこで、「隠れ貧困」度チェックリストを紹介。ぜひ、判定を!
【あてはまるものをチェック】
1.生活費は苦しいが、1年回の家族旅行はリッチに行きたい。
2.月に3回以上、自分にごほうびを贈る。
3.給料日前でも、ママ友とのランチを断れない。
4.子どもは3つ以上の塾・習い事をしている。
5.子どもの教育費などは、親から援助してもらっている。
6.住宅ローンを払い終わるのは、65歳以降だ。
7.月々の生活費の赤字(年間30万円以上)を、ボーナスから補てんしている。
8.生命保険は勧められるまま、3年ごとに見直しをしている。
9.年間の貯蓄額より、保険料のほうが多い。
10.貯蓄はない。
【「隠れ貧困」度判定】
●0〜3個・隠れ貧困度10%。健全な家計をキープしながら、次は貯まる仕組みを作りましょう。
●4〜7個・隠れ貧困度50%。このままでは貧困街道まっしぐらです。立ち止まって家計の総チェックをしましょう。
●8〜10個・隠れ貧困度80%。あなたはすでに隠れ貧困かも⁉︎急いで家計を大改造しましょう。
隠れ貧困は、気持ちの切り替えや少しの知恵で防ぐことができると萩原さんは言う。できるところから、今すぐ見直しを。