「便秘は子どもの体の負担となるのはもちろん、大人が考える以上につらい思いをさせてしまっていることが多いものです。子どもの便秘解消は、早急に取り組むべき社会的課題だと思います」
そう警鐘を鳴らすのは、NPO法人日本トイレ研究所の加藤篤代表理事。同研究所が6月に発表した「小学生の排便と生活習慣に関する調査」によると、なんと小学生の5人に1人が便秘状態にあるという。まずは、次の便秘チェックリストでお子さんの排便習慣の把握を。
■うんちの頻度が3日に1回以下
■うんちを我慢することがある
■うんちをするときに痛みがある
■うんちが硬い
■トイレが詰まるくらい大きなうんちが出る
■うんちをお漏らししてしまうことがある
【結果】2つ以上、当てはまる子は便秘です
「子どもが便秘になる要因として生活習慣以外に、小学校のトイレの老朽化と排便に対するマイナスイメージがあると考えられます。私たちの調査によると、学校で排便をしない子どもは5割にまで上っているのです」
公立小中学校の約7割が築25年以上の古い校舎で、トイレも老朽化が進んでいるという。家庭では洋式トイレが主流なのに、学校のトイレが和式であることも“学校での排便忌避”の一因と考えられる。
しかし、学校のトイレがきれいになるだけで、子どもたちの“排便忌避”問題が解消するわけではない。なぜなら、今回の調査結果からも、「学校でうんちをするとき、まわりの目を気にする」という心理的要因が、昔から変わっていないことがわかるからだ。つまり、トイレや排せつについての子どもたちの意識も変えなければならないのだ。では、どんな教育をすればいいのだろう?
「“教える”のではありません。子どもと一緒に楽しく話すこと。排せつについての子どもたちの意識を肯定的にしていくためには、“大切なこと”として楽しく話すことが大事です。大人が楽しそうに話せば、子どももすぐに“楽しそう!”となりますからね。理屈ではなく、そういう空気を作ることが重要なんです」
それは家庭でもできることだという。
「親も一緒に楽しんでやりましょう。トイレに行った後に『あー、すっきりした』『いいうんち、出たよ』と話すことで、排便することが体にとって“快”であることを実感するのです。子どもが『いいうんちをした』と報告したら、褒める。父親もきっと積極的に協力してくれると思いますよ(笑)」
子どもが進んで“うんち報告”をしたくなる雰囲気を作れば、家族みんなの便秘解消にもなり、一石二鳥だ。また、記録することも有効なのだそう。
「カレンダーに回数や大きさを書いたり、“キングうんち”などと名前をつけたりして、楽しく記録するのはいいですね。そうすることで『“いいうんち”がしたい』と、苦手だった野菜を食べ始める子も出てきたりします」
子どもの便秘解消は“一緒に楽しく”取り組むのが効果的なようだ。