「今、日本には推計で約3億個のジュエリーが個人の手元にあるといわれていますが、その8割以上が使われず、家の奥で眠ったままになっているんです」
こう話すのは、ジュエリーリフォームやオーダーメードジュエリーを手がける「アイデクト」の代表取締役・藤野匡生さん。’12年にアイデクトが行ったアンケートでは、ジュエリーを譲り受けた人の68%が「デザインが古くて使えなかった」と回答。そのほかも「放置」や「処分」など、譲り受けても活用できず、逆に困っている人が多いのだ。
ところが、今、ジュエリーを子ども世代に譲り始めた70〜80代のシニアが持つ宝石は、質が高いものが多いという。
「リフォームしたいとお母さんのジュエリーをお持ちになったお客さまが、予想以上の鑑定結果に驚かれることがよくあります。遺品として受け継いだジュエリーを『うちの母はそんなに高いもの持っていないから』とおっしゃって、ガラスや水晶だと思い込んでいる方もいますが、じつは大変質の高いダイヤモンドだったというケースも少なくありません」(藤野さん・以下同)
今、タンスの奥に眠っている数々の“化石ジュエリー”は、あなたが今使っているものよりずっと、価値の高いものかもしれないのだ。実際、中国やインドの専門業者が、日本のタンスを“都市鉱山”とみなして、足しげく買いつけにきていたという。
だが、せっかく質が高くても、“いかにもおばあちゃん”なデザインでは使い道がない。そこで、今、急激に需要が伸びているのが、ジュエリーリフォームなのだ。
「とくに40〜50代のお客さまの需要が増しています。お母さまから受け継いだものやご自身で若いころに買ったジュエリーを、今どきのデザインにしたいとお持ちになる方がとても多いんです」
持ち込まれるジュエリーの第1位は、ダイヤの指輪。次いで、冠婚葬祭用のパールのネックレスが続く。アイデクトの場合、デザインがシンプルで追加購入の石がなければ、約20万円からフルオーダー可能。既製のデザインを使ってリフォームするセミオーダーメードなら約6万円〜とお手ごろだ。
「新しいジュエリーを買うより、お持ちのジュエリーをリフォームしたほうがお値段も安く、自分好みのものが手に入ります。欧米では、こうして代々ジュエリーを引き継いで使っていくのが一般的なんですよ」
あなたの“化石宝石”も、今どきジュエリーに変身させてみる!?