欲しいものは徹底して値切るばかりではなく、捨てるのはもったいないと、伝線したストッキングは掃除道具などに再利用。賞味期限が切れた小麦粉はシャンプーの代わりに……。ケチ、セコいを通り越して芸術のように思えてくる、大阪を中心とした関西女性たちの節約術。
そんな、関西女性たちが実際に行っているスゴ技を集めて掲載した『カンサイ式節約術』(KADOKAWA)が、ネットで話題になっている。今回、その節約術の一部を関西節約術評議会主宰でライターの高田次郎さんが紹介してくれた。
■伝線ストッキングの再利用法は10通り以上!
伝線したストッキングはポイ!……しないで徹底して使い倒す。長いストッキングを、『腰部分』『太もも~膝下』『膝下~つま先』と3つの部位にカットするのがポイントだ。
「『腰部分』は針金ハンガーに通して湯船の『湯垢すくい』にすれば、髪の毛や湯垢がばっちり取れます。『太もも~膝下』は片方を縛ってそのなかに、玉ねぎやじゃがいもなど冷蔵の必要がない根野菜を入れて保存するのにも便利です。また、『膝下~つま先』の部分は手袋のように手にはめてそのままブラインドの隙間のホコリ取りや靴の掃除ができます」(高田さん・以下同)
針金ハンガーに通したパンストをひし形に広げれば、冷蔵庫の下など隙間のホコリ取りができる。『膝下~つま先』の部分に丸めた新聞紙や乾燥剤を入れれば、ブーツや靴の湿気取りにも。使い切ったコーヒーの粉を乾燥させてから入れると冷蔵庫の脱臭剤に。さらには、先を縛って洗濯ネットにしたり、ウエストのゴムの部分で髪の毛を留めたり、ヘアバンドにするなど、再利用の用途はゆうに10種類を超える。
■賞味期限切れの食材も使い切る
粉もん文化ならではの技もある。お好み焼きやたこ焼きを作るため、関西の家庭ではほぼ常備してあるという「小麦粉」。使い切れず余らせてもシャンプーの代わりになるという。
「うちのおかんがやっていた方法は、水1リットルに賞味期限が切れた小麦粉5~6グラム(小さじ2杯)を入れてかき混ぜながら、一度沸騰させて冷ますだけというもの。ぬらした髪と頭皮にすりこむように洗うと、小麦粉が皮脂を吸収してサッパリしたそう。でも、小麦粉アレルギーの人は使用不可です」
ほかにも、水でといて固めて団子状にした小麦粉を、ブラシの届かない窓のサッシに埋め込むとホコリを吸着するという。
■口コミはSNSよりも早い!
節約術の数々は、ほとんど口コミで伝播する。関西のおばちゃんたちは、うまく値切れたこと、買い物で得したことなど、自慢を交えて周囲に教える。
「日常的な井戸端会議がおばちゃんたちの情報源です。お店のおトクな情報から節約術まで、あっというまに口コミで伝わります。それは関西に色濃い『長屋文化』の名残りだと思います」
カツカツしながら節約しても、気分が沈むばかり。楽しみながら節約するのが、カンサイ式の極意なのだ。