「結局、お金をためるということは財布からお金を出させないことなんです。たまらない人は全方位に数多く、必要以上のものを買っている。これを正すには、限られた現金だけを使って生活することがいちばん早くて効果的。そこでとりあえず、食費と日用品代(以下まとめて食費と表示)を強制的に1日現金2,000円だけでやりくりするようにしたのが、“クリアファイル家計簿”です」
そう話すのは、「クリアファイル家計簿」発案者のいちのせかつみ先生。いちのせ先生は30年以上のキャリアをもつファイナンシャルプランナー。これまでにのべ3,000人以上の家計簿診断を行ってきた。
「クリアファイル」と名前がついているが、実際に使用するのは20枚綴り程度のクリアブック。最初にコピー用紙を16枚用意。表裏に1日〜31日までの日付を書いて、クリアファイルの各ページに1枚ずつ入れる。6万円(便宜上30日ある月として)を千円札で用意し、2,000円ずつ各ページに差し込む。これで準備は完了。
「いままで1日いくら使っていても、4人家族でも単身者でも、金額は2,000円にしてください。毎日ファイルから現金を出し、これだけ財布に入れて買い物すること。やってみればできることは、これまで実践した多くの主婦が証明しています」(いちのせ先生)
もし毎日、食費を2,000円で賄うと月額は6万円。平均的な家庭では月の食費は10万円前後というから、これだけで月4万円。年間50万円がたまる計算だ。つまり「クリアファイル家計簿」とは、実行したら、即節約ができ、お金がたまること必至、まさに魔法の家計簿なのだ。
1日を2,000円でやりくりすることは、金銭感覚を節約モードに切り替えるトレーニングのようなもの。だからとにかく、クリアファイルにある現金2,000円だけでやりくりすることが肝心。そうなると、そこにはやはり工夫やコツが必要だ。そこで今回、いちのせ先生のレクチャーで大成功した主婦に取材。「クリアファイル家計簿」で成功するための鉄則を聞いてみた。
■買い物には電卓を持参
小杉妙さん(35・以下主婦はすべて仮名)は、共働きで子どもはいない。年収は夫婦で800万円。十分な収入と思われがちだが、夫婦ともにグルメで外食好き。1日の食費に1万円使う日も多く、貯金はゼロだった。
「牛肉だけで1回4,000円とか買っていたので、とにかく安い鶏肉や豚肉にシフトすることから始めました。これまでだと、とんカツには出来合いのサラダを買っていたのをキャベツの千切りだけにして」
そんな小杉さんのマル秘テクはスーパー2周作戦だ。
「1周目は欲しいものがあってもカゴに入れない。2周目は持参の電卓を2,000円にセットしてカゴに入れた商品の金額を引いていく。これだと絶対に買いすぎず、レジで『お金の持ち合わせがない』と恥をかく心配もありません」
《いちのせ解説》「子どものいない夫婦共働きは、セレブ思考が強く、いちばんお金を浪費している割合が多い世帯。小杉さんも外食の多い月の食費と、高級な日用品代の合算も20万円超えでした。それを月6万円にしたので、年間150万円超の貯蓄ができたんです」
■グルメ番組、深夜の通販番組は見ない&インスタグラムをやめる
松井美穂さん(52)は夫と大学生の子どもの3人世帯。夫の収入は600万円だが、給与は上げ止まり。老後のための貯金を切り崩し始め、危機感から1日2,000円を実行しようとした。そのとき家族2人が「生活レベルが下がるのはイヤだ」と猛反対。
「2人にいまの家計の状況を説明し、今後のお金の話を家族で真剣にしました。わが家の危機を家族で共有できたことが成功への一歩でした」
松井さんがとくに気をつけたのが、グルメ番組とインスタグラム。
「グルメ番組を見るとつい外食したくなるし、通販番組で買ってしまって失敗したものも多い。だから見ないことにしました。インスタも楽しかったのですが、見栄のために無駄遣いしていたんです」
《いちのせ解説》「50代は見栄を張っている人が多い世代。見栄は無駄遣いの元凶だと私は思います。家族の協力もあって、松井さん宅は年間100万円貯金達成です」
私もやってみようと思ったあなた。さっそく100円ショップでクリアブックを買おうとしていませんか?
「おそらく8割の人が買いに行こうとするのですが、家を探せば使っていないクリアファイルが必ず見つかる。買ってはダメ」(いちのせ先生)
そんなところから意識改革して、家の中のクリアブックを探すことから、節約生活始めよう!