日本の認知症患者は、約462万人。その予備軍も含めると、およそ800万人ーー。厚生労働省の統計によれば、そんな衝撃的な数値が明らかになっている。誰にとっても身近な存在となった認知症。しかし、生活の工夫で、その予防ができるとしたら……?

 

「厚労省のデータによれば、65歳から69歳の方が認知症になる確率は1.5%。その後5歳ごとにほぼ倍になり、85歳では27%になります。確かに、加齢によって認知症のリスクが高まるのは私たち誰もが避けられないのですが、生活習慣の改善によって、かなりの割合でそれを防止することは可能です」

 

こう話すのは、医学博士の大西睦子先生。2007年よりハーバード大学で、食生活や遺伝子と、老化や肥満などの関係の研究に従事してきた。現在はボストン在住で、健康に関する正しい情報の普及に努めている。そこで、大西先生が「認知症にならない人のための若返り習慣10」を教えてくれた。その後編として5つを紹介。生活習慣を改善すれば、認知症を防ぐ助けになるという。

 

【習慣6・1日30分昼寝をする】

「高齢になると、体内時計のリズムが乱れたり、ストレスや治療薬などの影響で、どうしても睡眠障害の傾向が出てきます。そこで効果的なのが昼寝。お年寄りに多い長すぎる昼寝は夜眠れなくなる原因になりがちですが、30分程度の昼寝で頭をスッキリさせることは、脳にもいい影響を与えます」(大西先生・以下同)

 

【習慣7・趣味のサークルで異性の友達を持つ】

「脳を活性化させるためにも、町内会や趣味のサークルなどのコミュニティに参加して、毎日を楽しむのは認知症予防にも大きな効果があります。異性との触れ合いを楽しむのもいいですね。異性の目を気にすると自然に身だしなみにも気を使いますし、生活にも張り合いが出てきます」

 

【習慣8・ニュース番組はメモを取りながら見る】

「テレビなどの受け身な娯楽はおすすめできませんが、ニュース番組などで役に立つ情報や人に教えたい知識をメモしながら見る習慣をつければ、自然とテレビをダラダラ見ることはなくなり、いい効果がありそうです」

 

【習慣9・歯の裏や歯ぐきまで歯磨きする】

「山本龍生・神奈川歯科大学准教授らのグループの研究によると、歯がほとんどなくて義歯も使用していない人は、20本以上歯が残っている人より、認知症のリスクが1.85倍に高まることがわかっています。歯磨きは歯周病を予防し、歯を長持ちさせる大事な習慣です。特に歯の裏や歯ぐきまでしっかり磨く習慣を持っている人は、歯が抜けにくいといわれています」

 

【習慣10・消費期限の短い食材で料理を作る】

「駄目になる前にどうやって料理するか考えるのは、頭のトレーニングになって一石二鳥。特に消費期限の短い食材は、すなわち体にもいい食べ物です。また、高脂肪で糖分が高い食品を食べ続けると、認知機能に悪い影響を与えることがわかってきています」。自分で料理を作ると、自然と健康的な食品になるうえ、作る過程で頭を使うので、脳が現役でいられるのに役立つそう。

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