年をとればとるほど“肉を食べると太る”と思っている人も多いはず。実はそれ、大きな間違いなのです!
「ダイエット中こそ、肉をしっかり食べたほうがいいのです」と話すのは、『五〇歳をすぎたら肉を食べなさい! 正しい肉食』(集英社)の著者で、人間総合科学大学人間科学部・熊谷修教授。その理由を熊谷教授が解説してくれた。
「極端なカロリー制限や食事を抜くダイエットを行うと、体重は減りますが、脂肪とともに骨と筋肉も減らしてしまいます。しかも、筋力が落ちると基礎代謝も落ちるので、エネルギーが発散できない。脂肪組織が増え、タンパク質が減るので、体重は落ちてもたるんだ体つきになってしまうのです。このような栄養失調の状態が続くと、老化が進みやすくなりますし、病気のリスクも高まります」(熊谷教授・以下同)
熊谷教授は、東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)研究員時代に日本初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表した、介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者。その熊谷教授が、今「50歳を過ぎたら肉を食べなさい!」と、動物性タンパク質の摂取を勧めている。
タンパク質とは、筋肉や内臓、皮膚、爪や毛髪など、人の体をつくるのに欠かせない栄養素。肉や魚、卵、乳製品に含まれる「動物性たんぱく質」と、豆や穀物などの「植物性タンパク質」に分類される。1日あたり80gの肉を毎日食べるのが、老化予防につながる“正しい肉食”だ。
「肉はタンパク質と脂質を同時にとれると言うメリットがあります。とくに肉の脂は飽和脂肪酸といい、エネルギーに変換しやすい良質な脂です。食事量が減る40代以降、タンパク質を迅速に体の組織に作り替えることが、アンチエイジングにもつながります」
ステーキや炒め物などの肉料理はもちろん、ハムやソーセージなどの加工肉や、ハンバーグ、から揚げ、焼き鳥でもOK。さまざまな種類の肉を、日替わりで食べよう!