「奥さんが乳がんに罹患したということでご主人のほうも勉強をして、夫婦でピンクリボンアドバイザー試験を受験されるケースもあります。夫婦で同じ知識を持っていると、治療方針もスムーズに決まることが多いのです」
こう話すのは、「ピンクリボンアドバイザー」認定試験を実施する認定NPO法人乳房健康研究会の高木富美子さん。乳がんは日本人女性の12人に1人が罹患する、といわれてきた。しかし、この8月に、国立がん研究センターの統計は「11人に1人」と更新され、いずれ年間10万人罹患時代が到来するとも推計されている。
そこでいま注目を集めているのが、乳がんの正しい知識と情報を持つことを目指す「ピンクリボンアドバイザー」という認定資格だ。’13年にスタートし3年目を迎えたこの制度は、急増する乳がんの検診率と早期発見率を高めることを目指して設けられたという。
「そもそもは周りの人に検診を勧めたり、一度も受けたことのない隣の人の背中を押すのがピンクリボン運動の第一歩。もちろん自分の体を守ることもできます。また、ネットなどでの乳がんの誤った情報を食い止めるためには、正しい知識と情報を伝える存在の育成が大切。ということでこの制度がスタートしました」(高木さん・以下同)
この認定は毎年12月に初・中級の試験を全国主要都市で実施。上級は中級合格者の中から、講習により単位を取得し、研修を受けた者が認定されるというシステムだ。
「一度認定されればそれで終わりではなく、乳がんは刻々と治療法や保険の適用なども変わるので、3年ごとの更新が必要です。取得した後も仲間を増やし活動を広げていこうという意図です」
出題範囲は公式テキストからマークシート形式で50問(四者択一方式)。初級は100点満点中、80点以上が合格。中級試験は初級認定者が対象で、事前講習用DVD教材からも出題される。ちなみに’15年の初級受験者は1,592名で、合格率は92.4%。同年の中級は受験者506名、合格率83.1%となっている。
そんな、「ピンクリボンアドバイザー」の試験問題の中から10問出題!
【問題】
1.乳がんは乳房の( )腺に発生する。
2.乳管内にとどまるがんは( )と呼ばれる。
3.乳管壁を破って、周辺組織に進展すると( )と呼ばれる。
4.年代別に見ると乳がんは( )代後半にほかの年代よりも多く発生している。最近では60代前半でもうひとつのピークがやってくる傾向にある。
5.乳がんの発生と進行の原因のひとつには、女性ホルモンの( )の影響があると考えられている。
6.乳がん検診の目的は乳がんの( )の減少にある。
7.早期発見方法には、自己検診、視触診、( )、乳房超音波検診、MRIなどがある。
8.乳がん検診には、利益だけでなく( )があることを理解する必要がある。
9.閉経前の女性の自己検診は( )1回、月経が( )ころに行うのがよい。
10.乳がんの精密検査ではマンモグラフィー、超音波の再検査を行ったうえ、必要に応じて細胞診や( )診が行われる。
【解答】1.乳/2.非浸潤/3.浸潤/4.40/5.エストロゲン/6.死亡率/7.マンモグラフィー/8.不利益/9.月、終わる/10.組織
「この認定制度が広がっているのは日本女性の気質のお陰だと思うんです。奉仕の精神に満ちた方が多いのか、ご自身が乳がんに罹患した人もそこで終わらず、その経験を誰かのために役立てたいと思ってくださる方が多いんです。また、お仕事として医療に携わっている方の場合でも、知識や経験を仕事以外の場所でも還元したい、と考えている方が一定数いらっしゃいます」