「マッサージをしてもらうと一瞬は楽になりますが、すぐに痛みがぶり返してしまう人も多いのではないでしょうか。首のつけ根あたりをもみながら『筋肉がガチガチになっている』と、思い込むのは大きな勘違いです」
そう語るのは、さかいクリニックグループ代表の酒井慎太郎さん。日本人の“国民病”とも呼ばれ、大勢の人が悩んでいる肩こり。酒井さんは次のように続ける。
「実は硬いと感じているのは筋肉ではなく、首の骨の一部や肋骨の結合部なのです。骨をさわって筋肉が硬くなっていると感じているケースが多いのです。そのうちもむ力をどんどん強くしないと満足できなくなり、やがて筋肉が損傷してしまいます!」
なんと、多くの人が実践している“こったらもむ”のはNG行為だそう。そのほかの、肩こりを悪化させるNG習慣は次の7つだ。
【1】やせるため半身浴
【2】気がついたら「ほおづえ」
【3】高い枕で寝ている
【4】重いイヤリングをつけている
【5】マッサージ器を愛用
【6】スマホを見るとき、うつむきがち
【7】バッグをかける肩が決まっている
柔道整復師の酒井さんは、1日170人以上、延べ100万人以上に施術しており、最近は『首・肩の頸椎症は自分で治せる!』(学研プラス)も出版した。首や肩のトラブルで酒井さんのもとに訪れる人の9割以上に“ストレートネック”の症状が見られるという。
「頸椎は7つの骨が連なって構成され、本来は前に向かってゆるやかにカーブしています。しかし前かがみの姿勢ばかりとっていると、頸椎に負荷がかかりカーブが失われてしまいます。たとえば頭が2センチ前に出ますと、2倍の負荷が頸椎にかかります。体重が50キロの人なら通常頭の重さは5キロなのですが、2センチ前に出ると10キロの負荷がかかるのです」
頭の重みによって、頸椎の骨と骨の間が狭くなると、周囲にある血管や神経が圧迫され、「首がまわらない」などの不調が出てくる。また、ストレートネックを放っておくと、だんだんと症状が重くなっていく。
「症状が重くなると、手術を受けなければと考える人もいるでしょう。しかし、たとえ手術が成功しても、前かがみの姿勢を正さなければ首や肩の不調が再発します。私はまず、肩こりを悪化させるNG習慣を改めることをお勧めしています」