全国で1,300万人もいると推定されている骨粗しょう症患者。’14年には大腿骨近辺を骨折した人は約19万人にもなったという。なんと、1日平均520人が太ももを骨折していることになる。
「大腿骨近辺の骨折は手術が必要となることも多いうえ、回復にも時間がかかります。とくに高齢者の場合は骨折をきっかけに認知症になったり、回復しないまま寝たきりの生活が続いたりと、介護問題にまで及ぶのです。骨折後1年以内に亡くなる人も少なくありません」
こう話すのは、慶應大学医学部整形外科特任準教授・宮本健史さん。宮本さんは次のように続ける。
「調査をすると、骨折をした人たちは高齢者が多く、とくに閉経後の女性が多いことがわかりました。この条件は骨粗しょう症のリスクの高い人に当てはまるのですが、骨折する人の多くが、自分が骨粗しょう症だという自覚がない場合も少なくありません。ちなみに女性は70代後半になると、2人に1人が骨粗しょう症になります」
骨折する人の多くが、自覚がない場合も少なくないという骨粗しょう症。そこで、将来の「骨折」危険度チェックリストを紹介!
【1】すでに閉経を迎えている
【2】お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる
【3】この1年間で背中が丸くなってきた
【4】若いときに比べて身長が縮んだ
【5】家族に骨粗しょう症の人がいる
【6】たばこをよく吸う
【7】ささいなことで骨折したことがある
【8】ジョギングやウオーキングが苦手
【9】外出の機会が少なく、日光に当たらない
【10】牛乳や乳製品をあまり取らない
【11】魚や大豆食品はあまり食べない
【12】体形はスリムなほうだ
【13】1日、(日本酒で)3合以上飲酒をする
【診断結果】1〜6に当てはまった人は要注意!! 7〜13に当てはまった人も生活改善の検討を!
“予防対策”について、宮本さんは「ビタミンEを適度に摂取すれば、骨粗しょう症や骨折を予防できる可能性もあるのです」と語る。
ビタミンEならば、サプリメントでも手軽に取れそうだが……。
「サプリですと過剰摂取になるので、私は食事で取ることをおススメします」(宮本さん)
ビタミンEを多く含む食品には、ナッツ類、ひまわりの種などの種子類、ほうれん草やブロッコリーなどの緑色野菜、それに小麦胚芽油・ひまわり油・紅花油・大豆油などの植物油などがある。一例をあげると、アーモンドは20〜25粒くらいが1日の摂取量の目安となる。
「また喫煙は、骨をもろくさせ、骨粗しょう症リスクを高めます」(宮本さん)
大腿骨骨折をしてから後悔しても遅い。ビタミンE摂取や禁煙などの生活改善こそ“転ばぬ先のつえ”なのだ。