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「コレステロールの値だけではなく、“血管力”に注目することが重要です。血管は生活習慣などによって実年齢よりも若かったり、老化していたり個人差があります。また、閉経によって女性ホルモンの分泌が減ることで、血管の老化度が急速に進んでいることも。私の医院では、まず『血管年齢検査』や『頸動脈エコー検査』を行って血管力を評価します」

 

そう語るのは『人は血管から老化する』(青春新書プレイブックス)の著書がある池谷敏郎先生。健康診断で「コレステロール値が高い」と言われてドキドキした人もいるだろう。なかには、数値が上がらないように、卵を週に2個までにガマンしているという人も……。だが、池谷先生は「コレステロール値が高い=病気」ではないと言う。重要なのは“血管力”。それには生活習慣が関わる。

 

「喫煙していない、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病がない、家族に脳や心臓の血管疾患の人がいないかを確認します。この条件を満たしていれば、LDLコレステロールの数値が高くても“病気”ではありません。数値を下げる薬『スタチン』を使わずに、経過観察をします。逆に、本人が喫煙している場合は、血管の老化度が進んでいる可能性があります。たとえ数値が低くても治療することもあります」

 

数値だけでなくさまざまな判断材料から治療や投薬が行われるのならば、問題はないように思える。

 

「ところが、私の医院に来た女性患者さんで、血管の状態も生活習慣もよく、値が高くても『スタチン』を飲む必要がないのに、10年以上飲み続けていた人がいました。つまり、基準値以上の数値が出た場合、機械的に、コレステロール値を下げればいいと判断して、安易に薬を使ってしまう医師が多いのです。とくに血管の専門医ではない医師が、基準値だけしか見ず、それ以上ならば投薬というケースが少なくない」

 

薬の効果で、コレステロールの数値は下がるが……。

 

「どんな薬にも副作用はあります。動脈硬化のリスクがある人に治療をして、それが防げたのであれば、薬の副作用が出たとしても致し方ありません。でも、積極的に治療をする必要がない人に投薬をして副作用が出てしまうのは、あまりに危険なことです」

 

そのような“危険”な医師から自分の身をどのように守ればいいのだろうか。

 

「がんで亡くなる方に匹敵するほど脳卒中や心筋梗塞で命を落とす方は多い。それら重篤の血管の病気になる“一歩手前”が動脈硬化です。コレステロール値が高いと発症するリスクが高まる動脈硬化は『サイレント・キラー』と呼ばれ、痛みを伴わずに静かに進行します。大事なことは、血管の若さを保つこと。自分の血管の状態を意識することは、生活習慣や食生活を見直すきっかけにもなります。また説明もなしに、安易にコレステロールを下げる薬を使おうとする医師に対して疑問を持つことも大事。がんと同様に、1人の医師だけでなく、セカンドオピニオンなど、専門家の意見に耳を傾けることも重要です」

 

血管力を上げて、コレステロールと上手に付き合おう。

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