「生活習慣が原因で、血糖値が高くなりすぎて下がらない2型糖尿病(以下・糖尿病)。戦後からずっと患者数が増え続け、’16年に初めて1,000万人の大台に乗りました。予備群を含めると、2,000万人以上になります。もはや誰もが糖尿病になりうる時代なのです」
そう話すのは、筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科の矢作直也准教授。40歳以上の女性、4人に1人が予備群以上といわれる糖尿病。症状がないまま進行し、発病すると完治は難しい。
「糖尿病の予防には、自分の血糖の値を知っておくことがとても重要です。しかし専業主婦やパートタイムで働いている人は、血液検査がある健康診断を受ける機会が少なく、健診の受診率は3割ほどといわれています。気づかないうちに糖尿病予備群になっている女性も少なくないのです」(矢作先生・以下同)
家事や育児に追われ、自分の健康は後回しという女性が多いなか、薬局やドラッグストア、駅などに設置されている「ゆびさきセルフ測定室」が注目されている。’14年から始まった「ゆびさきセルフ測定室」は現在、全国1,500カ所で展開。ワンコイン(500円)で血糖値を測ることができる手軽さが受けているようだ。「ゆびさきセルフ測定室」の啓発・普及をしている検体測定室連携協議会の座長でもある矢作先生が続ける。
「指先の採血で、6分間ほどで結果が出ます。とくに過去1〜2カ月の平均的な血糖値がわかるヘモグロビンA1cの検査装置をおく店舗も増え、より正確に、数値を見て自分が予備群なのかどうか知ることができます。健診を受けたうえで、3カ月に1回、血糖値を測ることで、その間に生活習慣の乱れがあったかどうかを見直すきっかけにもなります」
予備群の仲間入りをしないための心強いアイテムも出てきている。気づかないうちにアップダウンを繰り返す血糖値を把握できるのが、血糖測定器『FreeStyleリブレ』だ。
「使いきりのパッチを上腕部に貼るだけで、14日間の血糖値の変動がセンサーに記録されます。食事の時間と内容を照らし合わせることで、“何を食べると、どれくらい血糖値が上がる”ということがハッキリわかります。私の場合は、ごはんやうどんを食べた後は170mg/dlまで上がりました。また、白ワインを飲んだ翌朝は、69mg/dlまで下がるなどの発見も。よくかんでゆっくり食べたときには血糖値の上昇がゆるやかになるなど“見える化”することで、血糖コントロールがしやすくなるのです」
現在は、インスリンを使用している糖尿病患者のみ保険適用で、月5,000円ほどの自己負担額に。ちなみに、予防目的の場合、牧田先生のクリニックでは、月2万円ほどになるという。
「国民病である糖尿病や予備群にならないためには、自分の体重を聞かれたらすぐ答えられるように、血糖値も即答できるくらい、健康意識を高めることが必要です」