今や4人に1人が悩んでいる“国民病”の花粉症(アレルギー性鼻炎)。今年も花粉シーズンを目前に控え、憂鬱な気持ちになっている人も多いことだろう。
今月10日には「東京都民の約48%がスギ花粉症だと推定される」というニュースが流れた。アスファルトが多い都会では花粉が舞い上がり続けるため、都民は特に花粉症患者が多いようだ。しかも、すべての世代で10年前の調査よりも増えているとか!
また、昨年12月には日本気象協会が「東北、関東甲信、四国地方では前シーズンの1.5倍以上の飛散量」と発表している。昨年よりツラい状況になることは必至だ……。
各地のスギ花粉の飛散開始時期は例年どおりで、だいたい2月上旬から。
「ただし、スギ花粉は飛散開始と認められる前から、わずかな量が飛び始めます。2月上旬に飛散開始が予測される地域では、1月のうちから花粉対策を始めるとよいでしょう」(日本気象協会HP)
そんな、花粉症にまつわる新常識を紹介。教えてくれたのは、総合内科医専門医で、東京・赤坂のおおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎先生。
■女性のほうが、男性よりも花粉症になりやすい!
統計的にはスギ花粉症罹患者の男女差は明らか。
「スギ花粉症は女性に多い傾向があります。一方、ハウスダスト・ダニアレルギーは男性に多い傾向が。さらに、北欧の24~42歳の女性6,317人を8年間追跡調査したところ、生理不順の女性はかかりやすいという結果も。ホルモンバランスが関係していると思われます」(大竹先生・以下同)
■「これを食べれば花粉症が治る」という食べ物に医学的根拠はない!
食材で花粉症が治るという医学的根拠は基本的に存在しないという。
「ヨーグルトが腸内細菌を変化させ、アレルギーを抑制すると考えられていますが、ヨーグルトをよく食べるブルガリア人でもアレルギーはあります。私の知るところで効果が期待できそうなのは、和歌山県北山村だけに自生していたじゃばらという柑橘系の果物だけ。花粉症の症状を軽減するとされるナリルチンが豊富に含まれ、アレルギーを抑制する実験結果も出たそうです」
■プールで水泳をしている人は花粉症になりやすい!
海外の調査では、水泳プールを使用した経験がある人は、ない人に比べて花粉症発症の可能性が65%も高いというデータも!
「’06年11月の『Allergy』誌に発表されました。35~74歳の成人2606人を対象に、学童期、最近1年間、また生涯を通してのプールの使用頻度と花粉症の関連を調べた調査です。原因は塩素だといわれています」
■花粉入りのサプリや飴などは危険。死にいたる危険性もある!
花粉症の症状を緩和するとうたっている“花粉入の健康食品”は非常に危険!
「安易に口にすれば症状が悪化するケースもあるだけでなく、アナフィラキシーショックという急性のアレルギー症状を起こして死にいたることも。医師による濃度管理を受けずに、生半可な知識でアレルギー物質を摂取するのは絶対にやめましょう」
■花粉症にかかっているのは、元気な証拠とも言える!
そもそも免疫力が落ちると体は花粉に過剰反応しなくなる。そのため、高齢者は花粉症になりにくいといわれている。
「重篤な疾患があると免疫はそちらに先に反応するので、花粉症どころではなくなります。ですから、花粉症にかかっているということは、免疫の機能が落ちておらず、ほかに重篤な疾患もない、いわば健康な状態の裏返しだとも言えるわけです」