タンザニアの”柔道の父” 現地住民から「カクメイジ」と呼ばれる

「アフリカ大陸には長い植民地の歴史があり、彼らは『どうやって援助金をもらおう』『先進国に助けてもらわないと何もできない』とよく言います。でも、まず、その先進国頼みの気持ちを変えていかなければと思ったんです」

そう語るのは、アフリカの人々が真の意味で自立するための意識革命を目指している島岡強さん(48)。その風貌は頭にキレンバ(ターバン風の布)を巻き、口ひげとあごひげをたくわえたスーツ姿。しかも長身で眼光は鋭い。彼は、貧困にあえぐアフリカの人々のために人生の25年を捧げてきた。

島岡さんは現地で、漁業や運送業を起こして雇用を増やした。商社をつくり、コーヒーや紅茶、雑貨などの貿易も始めた。産業を起こし、根付かせ、外貨をもたらすことで、ザンジバルの多くの人々の生活は変わっていった。現地の人々は、親しみを込めて彼を『カクメイジ(革命児)』と呼んでいる。

また、約20年前には現地の若者に頼まれて柔道の指導を始めた。現在はザンジバル柔道連盟会長、タンザニア柔道のナショナルコーチとして五輪出場を目指している。彼が指導しているタンザニアのチームは’11年の東アフリカ大会で優勝、東アフリカでは1位の実力だ。しかし、4月のモロッコで開かれた柔道アフリカ選手権でタンザニアは敗退。惜しくもロンドン五輪出場は逃した。

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