値切らないと損? 家電量販店の販売員が語る「値下げ」の真実

5月11日、コジマとビックカメラが資本・業務提携を発表した。業界再編か、との声とともに注目を集める家電量販店業界。「値切らないと損」といわれる量販店だが、「各社ともエコポイントや地デジ特需を先食いした影響で、業績悪化の一途をたどっています」と業界トップのヤマダ電機販売員・ヤマダさん(仮名・30)。それでも表示価格より値下げをしてくれる方法はあるのか? 業界1、2トップ店の販売員に話を聞いた。

今回の合併で業界ナンバー2となったビックカメラで、メーカーの契約社員として販売員を務めるカメダさん(仮名・36)はまず「値引き権限のある販売員と交渉する」ことだという。

「値引きの権限があるのは、正社員の主任以上。店頭で社員は赤い『ビックカメラ』のベストを着ています。なかでも緑の腕章をした人は社内試験をパスした専門相談員なので、権限を持っている可能性が高い」(カメダさん)

ヤマダでは販売員に「級」があり、ネームプレートで色分けされているという。「パートや新人は緑、3級はピンク、2級は青。ここまではほとんど値引きの裁量権がない。最初から赤いネームプレートをした1級の、スーパーアドバイザーと呼ばれる店員と交渉したほうがいいでしょう」(ヤマダさん)

とはいえ、販売員も人間だ。偉そうな態度はやはりマイナス。「上から『何とかしろ』というお客は正直、相手にしたくない」とカメダさん。逆に情にほだされることも。ヤマダさんは言う。

「高校生の女の子がバイトで貯めたお金を持って『初めてのお給料で、お母さんにドライヤーをプレゼントしたい』と。希望する商品は予算オーバーでしたが、独断で裁量権を行使しギリギリまで値引きしました。『プレゼント』と言われると店員も心を動かされます。最初から交渉ではなく、まず『相談』してほしいですね。単なる値引きよりお得な買い物ができるはずです」

値引きのチャンス時はそれぞれ少し違うようだ。「ビックは昨年の同じ日と比較して、販売目標を立てています。そのため1日の中でも時間帯で値引率が変わってくる。お客の少ない平日、雨の日、閉店直後が狙い目です」(カメダさん)

ヤマダの場合は「時期を外して購入」するのが大事とのこと。「これから夏場にかけてエアコンの値引き幅は当然小さくなり、秋の運動会シーズンにはビデオカメラなどの価格が下がりにくくなります」(ヤマダさん)

節度をわきまえて、値切りライフを楽しみたい。

 

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