リアル梅ちゃん先生!「神の手を持つ女医」心臓カテーテル医編

「様々な困難に立ち向かい、そのなかで一流の外科医を目指し、成し遂げた信念の強さに脱帽するしかない。まさにNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』を地で行く女性医師です」と話すのは、聖マリアンナ医科大学助教授を経て、現在は神経内科医および作家として活躍する米山公啓さん。

男性社会の外科分野で女性が第一線で活躍するには、技術的に秀でていることは必須。技術と信念と体力、そして女性らしいデリカシーをもって治療にあたる”神の手を持つ女医”がいると米山さんはいう。済生会横浜市東部病院(神奈川県)・心臓血管センター長の塚原玲子先生はその1人。女性の心臓カテーテル医は本当にまれな存在。それだけに、生涯治療数が4千例という塚原先生はケタはずれといえるだろう。

心臓カテーテル治療とは、太ももまたは腕の動脈から管を心臓の冠動脈まで到達させ、検査、治療を行うもの。つねに画像を見ながらの手技になり、毎回、多量の放射能を浴びてしまうため、出産へのリスクを考え、女性専門医が育ちにくいという。

「『心カテ』は治療中の放射線被ばくのリスクから女性が進出するのがむずかしい分野でしたが、2人目の子供を出産したのを機に、思い切って循環器センターを志願。夫の留学に伴って訪れた米国エール大学で心臓カテーテル治療のようすを目の当たりにし、本格的に『心カテ』の技術の会得を目指しました」

そう語る塚原先生。スタッフは、医師、看護師など15名。先生の指揮のもと、多い日には1日30例の『心カテ』を行っている。

「実際に数多くの治療をして気づいたことは、針仕事のような細かい手技は女性の私のほうが得意。逆に全身のようすを絶えずチェックするような視野の広さは男性医師が優れているんです。女性医師が器具を操り、男性医師がサポートするのが『心カテ』のひとつの理想。そのためにも女性医師が増えてほしい」(塚原先生)

5年前、厚労省の呼びかけがきっかけで医師不足地域への支援として、岩手県立宮古病院で出張診療を始めた塚原先生。昨年3月の震災後は1カ月間、宮古市に入り避難所を回って医療活動を続けた。

 

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