ホントは9月が危ない!「熱中症&食中毒」回避マニュアル
今夏、全国で熱中症による救急搬送状況は、昨年の3万5千529人(7月1日〜8月31日)を2千人以上も上回った。猛暑は9月に入っても続いており、熱中症の危険度は高い状態のままである。
そんな中、「9月の熱中症は、じつは子供に多い」と警鐘を鳴らすのは、横浜国立大学教育人間科学部教授の田中英登さん(医学博士)。夏休み中、冷房に慣れきった子供の場合、2学期になって環境の変化に体がついていけず、体育の授業や運動会などで倒れる危険性があると指摘する。では、それを防ぐためにやるべき対策は?
「必ず水分補給をすることです。それと、この暑い時期は絶対に無理をしないこと。親は子供に、少なくとも9月中旬ぐらいまでは危険だと、自覚させておくことも重要です。また、気温が下がったからといって安心してはいけません。人間の体は、温度が5度以上変わると、非常に大きな負担になるんです。人間の体は寒いほうにはすぐ慣れますが、暑いほうには慣れにくい。だから、急に気温が上がった日は要注意。これは高齢者の方にもいえます」(田中さん)
そして熱中症と同様に、この暑さで9月以降も警戒すべきなのが食中毒。「夏の疲れが出るこれからの時期は、食中毒が発生しやすい」と、9月の食中毒の危険性を指摘するのは、(財)東京顕微鏡院理事の伊藤武さん(獣医学博士)。そこで、9月に注意すべき”危ない菌”とその予防策について、伊藤さんにアドバイスをお願いした。
【O-157】「牛などが腸管に持っている菌です。7〜9月は牛の菌の保持する陽性率が10%→20%と高くなり、食肉にも汚染するリスクが高い。それが出回る9月から秋口には注意が必要。特に内臓類は要注意。必ず加熱しましょう。10〜100個の少量菌で感染し病気が発症します」
【サルモネラ菌】「この菌は夏から秋に多く増殖します。この時期は卵の中のサルモネラ菌が問題です。35度で菌が増えるので、必ず卵の消費期限は守ること。また店頭でも暑い場所においてあった卵は、生では食べないようにしましょう」
【カンピロバクター】「これは鶏の肉にいます。この菌は暑いと死にますが、ちょっと涼しくなる秋口には注意。空気の少ないところで生き延びますし、冷蔵庫でも生き延びます。鶏刺し、ささ身の生は危険です!」
【ブドウ球菌】「この菌は人が持っていることが多く、気温が高いと増殖します。秋口には運動会やピクニックがあるので注意が必要です。お弁当に入れる食材は必ず加熱すること。おにぎりを握るときは、ラップを巻いて握るようにしましょう」