「私立の隠蔽体質は公立より深刻」と娘をいじめ自殺で失った母

「私立でいじめ問題が起これば、100パーセントこじれると思ってください。大津の事件のことで、公立校や教育委員会がいじめを隠しているといわれていますが、私立のほうが10倍は隠蔽するし、いじめを解決する力がないんです。私立はトラブルを嫌って、いじめを解決しようとせず、切り捨てる。『地元の小学校に、公立の中学に行ってください』と。そのとき切り捨てるのは、加害者ではなく被害者なんです」


そう話すのは『尾木ママ』こと、教育評論家で法政大学教授の尾木直樹さん。いじめで揉めているという噂が広がれば、受験者数も減り、偏差値が下がる。それが、さらなる生徒離れを起こす。だから隠蔽が生まれるのだと尾木さんはいう。また、教育評論家の小宮山博仁さんは私立の構造的な問題点をこう指摘する。


「公立は各都道府県の教育委員会が管轄し、その上には文部科学省があります。私立も同様ですが、自主性を尊重され、公立のようにあまり縛られずに運営できます。事件が起きた場合、公立では教育委員会の指導を受けますが、私立は原則として理事会が多くのことを決定します。『自分たちの学校内で処理しなさい』ということです。公立でも私立でも同じような頻度でいじめは起きますが、私立のいじめは、裁判を起こすなど、よほどのことがない限り表には出ません」

私立だからといっていじめは安心などとは言っていられないのが現状のようだ。では、どのような対策が今後の私立には必要なのか。尾木さんは、「私立の先生も、公立の先生がやっているようないじめについての研修などに積極的に参加して、スキルアップを図るべき」としながらも次のように語る。

「何より忘れてはならないのが『私立をダメにしたのは私たち親だ』ということ。親が進学実績ばかりを求め、私立学校は国語や数学の時間を増やし、モラル教育に必要な道徳や行事、文化活動の時間を減らしたんです。その結果が、予備校化された私立なんです」

子供たちに本当に必要な教育とは何か、親こそがそれを真剣に見直さなければならないときが来ているようだ。

 

 

 

 

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