しらない世界を疑似体験できたり、その世界ならではの豆知識を仕入れられたり……ストーリー以外の読みどころもたっぷりなのが、職業マンガの魅力。名前のとおり大のマンガ好きの「エレキコミック」のお2人に、オススメの職業マンガを聞いた!
やついいちろう「僕がオススメする1冊目は『課長 島耕作』(文庫版・全8巻 弘兼憲史著 777円~ 講談社)。専業主婦の方って、働いてるダンナさんの姿を知ることは、なかなかないと思うんです。でもね、会社員ってスゴイ仕事なんですよ。たとえば島と上司が、取引先に謝罪に行くシーンがあるんです。宴席で裸踊りを強要され、島はプライドが許せず拒否してしまう。でも彼に代わって、上司が裸でカッポレを披露して、場が盛り上がる。その姿を見て島は反省する。サラリーマンだったらバカにならなきゃいけないときもある、それができてこそ、出世につながるんだって。主婦のみなさんは、ダンナさんが疲れて帰ってきても、応援してあげてほしいですね。
そして、最近ハマっているのが『山賊ダイアリー』(1~2巻 岡本健太郎著 各570円 講談社)。これは、実際に猟師の資格を持つマンガ家さんの狩猟の様子をレポートした実録マンガです。猟師の生活って、僕らには想像もできないんですが、これを読めば、猟の仕方から使う道具の知識まで、すべてわかっちゃう。驚いたのは、イノシシが1頭20万円で売れるという話。猟師が捕ったイノシシはレアものということで高値がつくそうです」
今立進「僕が外せない名作としてまず紹介したいのが『まんが道』(文庫版・全14巻 藤子不二雄A著 720円~ 中央公論新社)。藤子不二雄A先生の自伝的マンガです。藤子・F・不二雄先生をモデルにした才野茂との出会いから、互いに切磋琢磨し、マンガ家デビューするまでを描いた作品。マンガ家の裏側が覗けるだけでなく、A先生とF先生の青春ストーリーとしても楽しめます。また興味深いのが、A先生がF先生に抱いていた劣等感。2人の関係の裏側が垣間見えるという点も注目です。
次に紹介するのは、そば打ちの世界を描いた『そばもん』(1~9巻 山本おさむ著 540円~ 小学館)。流れのそば職人・矢代稜が全国を行脚し、そばを打つ話です。これを女性にオススメする理由は、作中で語られるそばの豆知識やウンチクが、家庭でも役立っちゃう内容だから。たとえば乾めんをおいしく食べるには、表示時間の1.5倍の時間でゆでたほうがいいとか。僕も試しましたが、たしかにのどごしも最高! これには驚きました。実用的な内容に人情ドラマも描かれていて、盛りだくさんの内容です。身近にある「そば」だからこそ、知れば知るほど面白いのかもしれません」