この春の最も話題のスポットが、4月2日『柿葺落四月大歌舞伎』で幕を開ける東京・歌舞伎座。しかし、歌舞伎座に行ってみたいが「歌舞伎はちょっと敷居が高い」と感じる人や、「何から見ればいいのかわからない」と悩んでしまう人も多いはず。そこで、“絶対に損をしない”入門者向け演目3つをご紹介。
紹介してくれたのは、歌舞伎好きが高じて劇団『花組芝居』を立ち上げた座長の加納幸和さん。「私も最初は初心者だった」という加納さんが、曽祖父の弟に手を引かれて歌舞伎を見たのは3歳のとき。物心ついたときにはすでに『中村歌右衛門』という名がインプットされていたという。
【鳴神(なるかみ)】
歌舞伎十八番のひとつ。滝壺に龍神を閉じ込めた鳴神上人を酔わせ、日照りの原因である龍を解き放つ雲の絶間姫。だまされたと知った上人は髪を逆立て、着物を炎と燃やし追っていく。
【紅葉狩(もみじがり)】
紅葉狩で美しい更科姫の酒宴でまどろんだ平維茂は、「鬼に気をつけろ」と山神から注意される。山の奥へ踏み入った維茂は、すさまじい形相の鬼と化した更科姫と対決する。
【女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)】
放蕩息子の油商河内屋の次男坊・与兵衛が同業者のお吉に借金を断られ、逆上してお吉を殺害する。油にまみれ、転んで逃げまどう殺し場がいちばんの見どころ。
「そのほかにもおすすめなのが、『義経千本桜・川連法眼館の場』。階段の真ん中に狐が一瞬で現れるシーンもあるんですが、わざと視線をそらせるために花道に明かりがついたりするんですよ。最初に見たときはまだ子どもだったからまんまと引っかかって、2回見逃し、3回目でようやく見られた思い出があります」(加納さん)