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今年1月、アメリカのニュース雑誌『USニューズ&ワールド・レポート』が、’18年版ベスト・ダイエットランキングを発表した。40種類ものダイエット法を専門家らが評価し、疾患の改善性や減量の効果などを総合的に評価したところ、「DASH食」が8年連続第1位に選ばれた。

 

DASHとは「Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧予防のための食事法)」の略。高血圧症を治療するために塩分の摂取量を減らし、野菜やフルーツ、低脂肪乳製品、魚介類や大豆製品を中心とした食事法だ。これが今「何をやってもヤセられない」と悩む人たちを救っているという。

 

日本高血圧学会で減塩委員会委員を務める日下医院(広島県呉市)の日下美穂院長が解説する。

 

「DASH食はもともと、減量を目的にした食事法ではありません。’97年にアメリカの国立衛生研究所が発表した高血圧症の治療食です。アメリカでは死因の1位が心筋梗塞などの心疾患で、高血圧症はその原因の1つ。生活習慣病の改善策として食事療法が考案されたのです」

 

同研究所が医学雑誌『ニューイングランドジャーナル』に発表した研究内容は、大きな話題を呼んだ。

 

「DASH食は、塩分を排出する作用があるカリウムやマグネシウムなどのミネラル分をたくさん含んでいるので、血圧を下げる相乗効果があります。研究では、野菜や果物だけを中心とした食生活より、DASH食のほうが効果が高いという結果も出ています。食品1つ1つの降圧効果は小さくても、低脂肪乳製品や青魚に含まれる不飽和脂肪酸などをバランスよく組み合わせると、血圧はより下がるということです」(日下先生・以下同)

 

そして、この“血圧を下げる食事法”が結果的に減量や肥満防止効果があることがわかってきた。

 

「日本人の食事は塩分に合う白いごはんが中心なので、醤油や味噌、漬け物などをよく食べます。こうした塩分の多いおかずではごはんが進んでしまいます。おかずの塩分を減らせばその分、ごはんの量は減ります。また、DASH食は野菜の摂取量も多い。野菜でかさが増えた分、ごはんなどの炭水化物を大量には取れなくなるのです」

 

白米やうどん、パンなどの炭水化物は、肥満のもとである糖質。糖質を減らせばその分、ヤセられるということだ。

 

もう1つの“ヤセ効果”が、「むくみ」の解消。

 

「夕方になるとふくらはぎがパンパンに張って痛くなる人も多いですが、その『むくみ』は塩分の取りすぎが原因。塩分が多くなると、水分が体外に排出されにくくなります。本来、尿として外に出すべき水分が体内に残ってむくみとなり、その分、体重も増えるのです」

 

DASH食の献立を組むポイントを具体的にみていこう。

 

【1】“乳和食”などで減塩

 

日本人の1日あたりの食塩の摂取量は平均で男性が10.8グラム、女性が9.2グラム(’16年厚生労働省)と、日本高血圧学会が推奨する6グラム未満はおろか、厚労省が定めている男性8グラム未満、女性7グラム未満をも上回っている。日下先生が減塩のために推奨しているのは「乳和食」という減塩法だ。

 

「乳和食とは、味噌や醤油など調味料にコクやうま味のある牛乳やヨーグルトを組み合わせたものを“だし”として使い、塩分控えめでも、食材本来の風味を損なわずにおいしく食べる方法です。たとえば、いつもの味噌汁を作る要領で、味噌の半分をプレーンヨーグルトに置き換えるだけで、塩分控えめでおいしい味噌汁ができます。意外な組み合わせと思われるでしょうが、違和感なく食べられます」

 

濃い味付けのお総菜や加工食品はなるべく避けるように心がけて。麺類を食べるときは、汁を飲み干さないように注意しよう。

 

「うどんたった1杯で、1日分の塩分摂取量を超えてしまうので注意が必要です」

 

また、ファストフードやコンビニのお総菜は、基本的に塩分が高い。できるだけ控えよう。

 

【2】主食は雑穀ごはん、玄米、全粒粉パン、シリアル

 

農林水産省が推奨している「食事バランスガイド」では、1日に取る主食の目安は「ごはんが中盛りで4杯程度」とされているが、これは多すぎると日下先生は指摘する。

 

「ごはんは1食あたり、茶碗に軽く1杯。できれば、食物繊維が豊富な雑穀ごはんか、玄米と白米を半分混ぜて炊いたごはんにしましょう。パンなら、表皮と胚芽も一緒に砕いた全粒粉のものに、オリーブオイルをつけて食べるのがおススメです」

 

食物繊維が豊富なオートミールやシリアルでもOKだ。

 

【3】塩出し野菜を積極的に

 

積極的に食べたいのは、キャベツ、ほうれん草、モロヘイヤなどの葉物を中心に、緑黄色野菜、バナナ、キウイ、アボカドなどカリウムが豊富に含まれている果物、豆腐や納豆などの豆類、サケやマグロ、青魚などの魚介類、海藻、低脂肪乳製品など。

 

「これらの食材からはカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラル類を豊富に取れるので、塩分の排出を促せます」

 

ただし、DASH食をやってはいけない人もいる。腎臓の持病がある人は、野菜や果物の取りすぎで高カリウム血症になる恐れがあるので注意を。また、すでに肥満や糖尿病の人は、糖分の多い果物は控え、その分野菜を取るようにしよう。

 

減らすべきは、カロリーよりも塩分。さっそく今日から、ダッシュでDASH食に切り替えよう!

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