「食材としての魚の可能性ってキリがない。それを知っちゃうと、もう戻れないよ(笑)。“気持ち悪い”“生臭い”ってイメージを持っている人も少なくないかもしれないけど、魚って身近になると本当に楽しいんです」
人気バラエティ番組『得する人損する人』(日本テレビ系・木曜19時〜)で話題を呼んでいる日本料理の料理人・北山智映さん(38)。魚を知り尽くした“魚の女神”とうたわれる一流の料理人だが、20代前半はミュージカル女優を目指し、アイドルのような活動もしていたという異色の経歴の持ち主だ。
「ダンスや声楽を学び、アメリカの名門音楽大のオペラ科に推薦で留学したこともありました。でも、喉を痛めて夢破れ、失意のなかで見つけたのが料理。“表現する”という点で、踊ったり歌ったりすることと同じだったんだと思う」(北山さん・以下同)
今年10月で11年目を迎える自身の店「割烹 智映」(東京・銀座)は、フランスの美食ガイド『ゴ・エ・ミヨ』に2年連続掲載もされており、予約2カ月待ちの人気店。ハスキーボイスで酒好きの豪快なキャラクターも印象的だが、なによりも楽チン調理法で極ウマの一品を作る達人だ。
「私は小難しい料理は一切しません。店で出す料理も3〜4手くらい。家でちょっと作ってみようかなあと思ってもらえるような料理を目指しています。というのも私自身、主婦として家事をしながら仕事をこなしてきたので、世の主婦の食事づくりを簡単にしてあげたいの。そうすれば、家庭でもっとたくさん魚を食べてもらえるようになって、ひいては、日本の自然の恵みに気づいてもらえるかもしれない。私はその伝え人として、日本中のみなさんに魚の魅力を伝えていきたいと思います」