高血圧と診断されてから薬を飲んでいるけれど、なんだか体調がすぐれない……。それ、薬の副作用のせいかもしれません。
「多くの患者さん、そして医師までもが、すべての薬には人体にとって“毒”である側面があることを見過ごしています。その結果、薬が原因で体調不良が生じる、という事例が増えているのです」
こう話すのは、’12年に日本で初めて「薬やめる科」を開設した松田医院和漢堂院長の松田史彦先生。私たちが飲んでいる薬が、健康を害するきっかけになっている!?
「やみくもにすべての薬を否定するつもりはありません。当然、緊急時の治療や短期間で痛みや苦痛を取り除くために必要な薬もあります。問題なのは、“長期間にわたって薬を飲み続ける”こと。このように処方されている薬の9割は、実際は必要のないものだと私は考えます」(松田先生・以下同)
松田先生がまず問題視するのは、健康診断で基準値外となったことで要治療となり、薬が処方されるケースだという。
「血圧、コレステロール、中性脂肪などがそうですが、基準値が頻繁に変わるため、それまで健康だった人がある日突然、基準値外とされ“異常”と診断されるケースが多くあります。たとえば、50年ほど前まで血圧は『年齢+90mmHg』までが正常とされていました。70歳で160mmHgは正常だったのです。ところが、’99年に正常値は『139/89mmHg以下』とされ、日本高血圧学会は理想値をほぼ年齢に関係なく『120/80mmHg未満』としたのです。コレステロール値も同様で、’97年に日本動脈硬化学会が『総コレステロール値220mg/dl』と正常値をそれまでのものから変更しました。しかし、更年期以降の女性はエストロゲンの減少した体が免疫力を上げるためにコレステロールを増やす必要があり、ある程度は数値が高くて当然なのです」
これらの結果異常と診断されたことで薬の長期服用・多剤服用につながり、新たな弊害が生じるのだと松田先生は話す。
「薬は症状に対して、たしかに作用はします。しかし、その作用を必要とするのは体の細胞の一部。それなのに薬は血液をめぐりながら全身で吸収されていきます。つまり、薬の成分がその働きを必要としない健康な細胞にも作用してしまうのです。長期間にわたってこれを続けていれば、体に異変が現れるのは当然です」