「夫がある日突然、事故や病気で亡くなったらどうしよう」と、不安に思う妻は多い。夫の死後、喪主として葬儀を仕切り、身の回りの物を処分したり、手続きをしたりと、やることがたくさんある。その間、食べていかなければならないので、悲しんでばかりもいられないのが本音だろう。
「何から手をつけていいのかわからない、という声をよく聞きます。お葬式でかかった費用の清算、扶養されていれば年金の手続き、健康保険の名義変更、預貯金、民間の保険の解約の手続きなどをしますが、国や勤め先などから、もらえるお金があるのを知らないで、余計なお金を使うケースを見かけます。手続きがスムーズにできるように事前に知っておきましょう」
そうアドバイスするのは、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。まず夫が国民健康保険に加入している自営業者であれば、葬儀代にプラスできるお金「葬祭費」として、自治体から3万~5万円がもらえる(死後2年以内に手続きをする必要があり)。
そして大事なのは、夫が死んでから月々の収入がどのくらい少なくなるのか把握すること。
「夫が会社員か自営業か、高校を卒業するまでの子どもがいるのかどうか、条件によって遺族年金の種類や受取額が異なります。不足分を補うための保険の加入のプランや妻の働き方が違ってきますので、まずは、遺族年金を計算してみましょう」(畠中さん・以下同)
自営業の妻は、遺族厚生年金がないのでもらえる年金は少なくなる。高校生の子どもがいれば、遺族基礎年金と子の加算分がもらえるが、子どもが高校を卒業すると、60歳になって寡婦年金が受け取れるまで、無年金の期間が発生するので注意したい。
寡婦年金は60歳から64歳まで受け取れる。国民年金の保険料を10年以上納めた夫が亡くなった場合、10年以上の結婚期間があり、生計を維持されていた妻に対して支給される。金額は夫がもらえるはずの老齢基礎年金の4分の3となっている。
「お子さんがいない自営業の妻は寡婦年金が受け取れるまで無年金になります。また、寡婦年金を選択しないで、死亡一時金としてもらう方法もあります。遺族がもらえる額は国民年金の加入期間によって異なりますので、どちらが多いのか計算してから決めましょう。また、最近は国民年金基金や確定拠出年金に入っている人もいますので、それらの手続きや受け取れる金額についても、事前にしっておくといいでしょう」