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「火災保険の保険金で家を修理しませんか」と持ち掛ける詐欺が横行している。災害の多かった今年は、国民生活センターへの相談が急増し、10年前の30倍以上に! 経済ジャーナリストの荻原博子さんが詳しく解説してくれた――。

 

今年は、7月の西日本豪雨や9月に関西国際空港が浸水した台風21号など、自然災害の多い年でした。こうした風水雪害による被害は、火災保険で補償されます。

 

ところが最近、これを悪用し、「保険金で家を修理しませんか」と持ち掛ける詐欺が増えています。業者は「保険金が出るので、自己負担なしで修理できる」と強調し、「保険金請求の手続きも手伝う」と親切に話すようです。

 

しかし、業者の目的は、保険金請求サポートの契約をさせて、高額な手数料をとることです。同時に、修理工事も契約するケースがほとんど。被害者は十分な説明がないまま契約してしまい、契約書が渡されないこともあるといます。

 

損害保険金の請求は、修理の見積もりを出して行います。ですが、全額認められるとは限らず、自己負担なしとは言い切れません。

 

たとえ見積もりどおり保険金が出ても、請求サポートの手数料は保険対象外です。保険金だけで修理するには、手数料の分だけ修理を削る必要があります。そのため、見積もりと違う、ずさんな修理だったなどの苦情が後を絶ちません。

 

そのうえ、修理をやめる、ほかの業者に依頼すると言うと違約金を請求されるケースもあります。

 

国民生活センターによると、こうした相談は、’17年度に1,177件あり、’08年度の30倍以上にのぼります。さらに今年は、去年を上回るペースで増加中で、しかも、相談者の8割が60歳以上なのです。

 

ただ実際は、保険金の請求は簡単でサポートなど要りません。契約している火災保険の代理店などに電話すれば、保険会社が無料で調査し、認められれば保険金が出ます。親切な口ぶりで“おいしい話”を持ってくる業者にご用心を。

 

ほかにも、11月から1月ごろにSNS上で、有名ブランドのダウンジャケットやブーツなどが8割引きといった広告を見かけます。これは、海外の悪質業者による詐欺サイトで、代金を払っても商品が送られてこない被害が続出しています。連絡先のないサイトもあるので、注意してください。

 

最近の詐欺は、電話かインターネットが主流ですが、封筒で届くパターンも復活しています。

 

封筒には「重要」印が押され、差出人は「法務省管轄支局」。中身は「裁判が始まる。取り下げてほしいなら連絡を」といった内容で、もっともらしい管理番号も書かれています。新手の架空請求ですが、封書で送られてくると、身に覚えがなくても信じてしまいそうです。

 

しかし、裁判所からの文書は「特別送達」といって、配達員が宛名本人に直接手渡すのがルールです。郵便受けに入っていた裁判がらみの封書は、すべて詐欺です。絶対に連絡してはいけません。

 

怪しい、話がうますぎるといった不信感を持ったときは、188(消費者ホットライン)に電話し相談しましょう。特に、高齢の親には「怪しいときは188」と書いて貼っておくくらい、注意してあげてください。

経済ジャーナリスト

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