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肌寒さが増してくるこれからの季節、体の冷えと並んで悩まされがちなのがむくみ。じつは、そのちょっとした変化に、大きな病気が隠れていることがあるという――。

 

「体のどこかにむくみが出ているのは、血流や代謝が悪くなっている証拠です。その一部には、深刻な病気が潜んでいる場合もあるのです」

 

こう話すのは、イシハラクリニック(東京都)院長の石原結實先生。40余年の医師活動の経験から、石原先生は“体の表面に現れる病気のサイン”の見落としに警鐘を鳴らす。

 

「むくみの正体は水分です。人の全体重のうち、約6割は水。日中に活動しているときは、これが重力のせいでどうしても下半身にたまりやすくなります。ですから、夕方以降に下半身がむくむのは自然なことです」(石原先生・以下同)

 

こうして夕方以降下半身にたまった水分は、横になって寝ることで翌日また全身に均一にいきわたるのだとか。

 

「ところが、特に女性は、40歳を過ぎたことからむくみがひどくなるという人が多いです。これは体温が低く、筋肉量が少ない女性に多く見られます。日ごろ、体を動かす習慣があまりないことから、代謝が悪くなっていることの表れです」

 

そんな「むくみ」が病気のサインであるとはどういうことなのだろう? 石原先生によると、むくみができる箇所によって疑われる主な病気は次のとおり。思い当たるむくみのある人も多いのではないだろうか。

 

【「顔全体」のむくみ 】甲状腺機能低下症

甲状腺機能が低下すると尿や汗の排せつが悪くなり、全身がむくみやすくなる。とくに、顔全体が腫れぼったくなったら要注意!

 

【「舌」のむくみ 】水分過剰

体内に水分過剰の人の舌はふくらみ、ぼてっとしている。舌が大きくなっているため、下歯に押し付けられて舌の辺縁がギザギザに。

 

【「唇」のむくみ 】アレルギー症状

唇が一過性で腫れるようなむくみは「クインケの浮腫(血管性浮腫)」といわれるもの。食べものや薬物へのアレルギー反応が疑われる。

 

【「まぶた」のむくみ 】腎臓病

起床時、まぶたの周囲がふくらむのは腎機能低下のサインで、急性腎炎や糖尿病性腎症などの疑いが。唇と同じアレルギー症状の場合も。

 

【「耳の下」のむくみ 】糖尿病

おたふくかぜで腫れる耳たぶの下の耳下腺が痛みもなくふくらんでいる人は、糖尿病の疑いが。インスリン不足に関連し耳下腺が腫れる。

 

【「片方の腕だけ」のむくみ 】腕の静脈血栓、悪性リンパ腫

むくんでいるほうの腕の静脈に血栓ができ、血液循環が滞っているサイン。悪性リンパ腫などで腋窩リンパ節が腫れ、生じることも。

 

【「片方の脚だけ」のむくみ 】大腿静脈の血栓

むくんでいるほうの脚の大腿静脈に血栓が生じ、血液循環が滞っているサイン。そ径リンパ節の腫れが原因のケースもある。

 

【「両脚」のむくみ 】うっ血性心不全、ネフローゼ症候群

一日中、両脚のむくみが続く場合は、命に関わるうっ血性心不全の恐れが。両脚のほかにもむくみが目立つ場合は、腎臓病のネフローゼ症候群の疑いも。

 

【「アキレス腱のつけ根」のむくみ 】高コレステロール血症

血中コレステロールが高くなると、コレステロールとアキレス腱のコラーゲン線維が結びつき2センチ以上にむくむ(正常は0.9センチ以内)。

 

手足に比べると、顔やまぶた、唇のむくみは自分では見落としがちだ。鏡で自分の顔を点検することを習慣づけるようにしたい。

 

「もし深刻な病気のサインであれば、一刻も早く治療することが大切です。病気に直結しないむくみは、適度な運動や入浴によって解消されます。日ごろから軽めの運動など、汗をかくことを習慣づけることをおすすめします。そして余計な水分は取らないようにしましょう。熱中症の心配のないときは、のどが渇いたとき以外は水分を取らなくても、健康に心配はありません」

 

体が教えてくれる病気のサイン。気になるものには、早めの適切な対処をしよう!

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