いよいよ始まった“平成最後の年”。来たるべき新元号時代を充実させるためには、「5月1日の御代替わりまでの4カ月間に、どのような種をまくか」が大切だと江原啓之さんは言う。そんな特別な時を迎えるにあたり、どのように日々を過ごせば新しい幸せの種を宿すことができるのか。そこで「江原啓之の“御代替わり”人生相談」を。幸せに生きるヒントが詰まった江原さんの言葉に耳を傾け、“新しい私”に思いをはせてください。
【Q1】「結婚生活25年になる夫とは冷めた関係で、趣味も生活スタイルも会話もかみ合わず。子どものために我慢してきましたが、子どもたちもようやく自立。最近よく聞く『卒婚』という言葉に希望を持ちはじめています。ですが、独りになると経済的に厳しくなるし、世の中そう甘くないとも感じています」(54歳・パート・札幌市)
【A1】「その後の人生を自己責任で生きる覚悟があるのなら『卒婚』を」(江原啓之)
私は最近、離婚したいという悩みに対しては、「あなたの自由ですよ」と言うようになりました。突き放しているのではなく、あの世に持っていけるものは経験と感動だけ。経験してみることも大切だと思うのです。ですが、「卒婚」という言葉に浮かれていたり、決めかねて悩んでいるのならば、いまはそのときではありません。
それでも離婚したいと思うならば、根底に「逃げ」があるのか、それとも真の意味で「卒業」したいのかを見極めることです。映画でもお芝居でも見っぱなしではなく、「自分ならどうするだろう」といったことを日ごろから思考する習慣をつけておくことで、決断するための想像力を磨くこともできます。
そうして想像力を働かせたうえで結婚というカリキュラムを卒業するならば、その後の人生は自己責任で自律して生きなければなりません。「卒業」の意味で、すがすがしく別れを決めたなら相手に感謝の思いがあるでしょう。一方、相手に憤りや思いを残すことがあるのなら、いまはそのタイミングではないのです。
また、「経済的には自立できるだろうか?」「後悔するかも」といった、いままで受けていた物質的な恩恵に未練がある場合も、まだその時は来ていないと言えます。いまの生活に変化をもたらしたいのであれば、離婚ではなく、ボランティアなど建設的なことを始めてみましょう。
この方の悩みは不幸の三原則でできています。こんな人と結婚してしまった“自己憐憫”と、相手が悪いという“責任転嫁”。そして、「生活はどうしよう?」という“依存心”を捨てきれていない。この3つの思いを改めれば、おのずと道は開け、生まれ変わることができるでしょう。
【Q2】「飲食店に勤務していますが、お客さんのクレームが多くて、落ち込みます。昨日は、ドリンクバーでお客さんがコーヒーを注いだ途端にはねて、服が汚れたといって大激怒されました。世の人はこの程度のことで罵声を浴びせてくるんだと思うと、人間不信になりそうです」(53歳・会社員・東京都)
【A2】「クレーマーはたましいが駄々っ子のまま。同じ土俵に乗らないこと」(江原啓之)
仕事をしていれば、そこに悩みや苦しみは必ずあるし、心が折れそうになる出来事にも遭遇します。「楽しい出会い」とか、「楽をしてお給料をいただく」ということを期待するのは間違いなのです。とはいえ、最近は、ちょっとしたことでクレームを入れてくる人が多いので、理不尽な思いをすることも多いでしょう。「つらいことはあって当然」という前提で、クレームをどう受け止めるかが問題です。
まずあなたが理不尽なことを言われてつらいと思ったら、人にはしないように気をつけることです。どこかお店に入ったときでも、宅配便を持ってきてもらったときでも、働く人への感謝とねぎらいの心をもって接していますか?
そもそもひどい言葉を投げつける人は不幸なのです。幸せな人は意地悪をしませんから、いつもキレたり、文句ばかり言っている人は自ら不幸を呼び込んでいるだけ。言い換えれば、たましいはまだ子どもで甘えがあり、いわば駄々っ子のようなものなのです。
クレームを言われたと思うから悲しい気分になるのでしょうけれど、相手は駄々っ子で「甘えているのだ」と思えば、寛容になれませんか? 肉眼で相手を見るから、「いい年をした大人が文句を言っている」と嫌な気持ちになるのです。ここは心の目で見てください。相手はまだ赤ちゃんなのかもしれませんよ。
とにかく、「金持ちけんかせず」ですから、同じ土俵に乗らないことです。また、クレームを言われてくよくよしたり、傷ついたりするのは、まだあなたのたましいが鍛えられていない証し。「さらに成長すべきである」というメッセージでもあるのです。