こだわりを大事にして、謙虚な気持ちを忘れず、丁寧に扱う……。先日引退したイチローが大活躍したように、宝くじの大当たりにも買う人の日ごろの心がけが肝心だった――。
いま平成最後のドリームジャンボ(1等・前後賞合わせて5億円)が発売中だ。今回、本誌では、実際に店頭で億を当てた人と対面している全国の神の手販売員を直撃。実際に億を当てた人の買い方の法則を聞いてみた。
「’08年ドリームで1等2億円を当てた70代の常連の女性。野球のイチローのように自分のルーティンを守る方でした」
そう話すのは、東京都「池袋西口地下東武ホープセンター」で販売キャリア25年、数々の高額当せん者を目撃してきた神の手販売員・笹崎美幸さん。その女性が購入するのはジャンボだけ。販売期間中の大安の日に、開店前から並んで、当日の1番目の客になる。そして購入枚数は決まって、36枚と端数だ。
「じつは彼女は2年前に、娘さんを36歳で亡くしていて、その享年の数字にこだわっていたんです」
毎回36枚ずつ買い続けて2年、2億円の大当たりが舞い込んだ。
「その人なりの運命の数字というのが必ずあると思います。それにこだわることが神様に通じるのではないでしょうか」
宝くじファンには「弘じい」として親しまれている東京都「小泉酒販宝くじセンター」店主の小山弘さん。一昨年、売り場から出たドリームミニ1等1億円の当せん者が直後に売り場にやってきた。
「70代の女性でした。彼女は4年前にご主人を亡くされていて、この日も、売り場に来る前に、墓参りして、ご主人の墓に当たりくじを供えて、報告してきたと言うんです。先に逝ったご主人が彼女の老後を心配して当ててくれたのかなと思いました。やっぱり家族運を大事にしていると、当たる運を、ご先祖が運んでくれるんじゃないかな」
今回、弘じいは、高額当せんの夢をかけ、売り場に自らの書、「宝当」の額を飾っている。
「本当は新元号が宝当になったらよかったんだけどね(笑)」
東京都「宝くじ御徒町駅前センター」の店主・中野徳治さんも「徳じい」としておなじみ。売り場からは21本の億が出ているが。
「印象に残っているのは’14年年末2等1億円を当てた青年だね」
彼は売り場近くの中華料理店に勤務していた。
「店頭で私が好きなのを選んでと、10枚入りの袋を扇形に広げると『おじさん、運がよさそうだから選んでよ』って。それで私が選んだ30枚の中から1億円(笑)。あとで、郷里のお母さんに借金があって、それを全部返済したと話してくれました。彼の謙虚な姿がいまも目に浮かぶ。やっぱり謙虚な人に幸運はやってくるんです」
つぎは、今年のバレンタインジャンボで1等3億円が出た愛知県「名駅前チャンスセンター」。じつは今年2月11日抽せんのロト6でも1等約1億5,000万円が出ているのだが、幸運にもその当せん者と遭遇したのが、販売員の木下志ず代さん。
「今回、ロト6の1等を当てたのは、毎週ロトを1万円購入する常連の60代の男性。その人の特徴はとにかく支払いのときのお金の手渡し方が丁寧。大事そうに差し出して、くじも大事そうに受け取っていくんです。神様はちゃんと見ているんだなと、今回の大当たりを目の当たりにして思いました」
愛知県「ふじや酒店」は’14年年末、’17年ドリームで1等7億円が出ている人気売り場。店を切り盛りするのは服部啓子さん。彼女が実際に会ったのは、’14年年末の前賞1億円を当てた40代の男性。
「その人はもう10年以上前からの常連さん。私から買うと当たると言って、私が店にいないと買わずに帰ってしまうんですよ(笑)。彼いわく『いちばん大事なのは、販売員さんとの相性だ』と言っていました」
神の手販売員が目撃した億を招いた人の作法。なにかひとつ、ゲン担ぎにまねてみてはいかが。