頭痛や肩こり、胃腸の不調など、なにかと心身のトラブルが出やすくなりがちな季節がやってきた。
「雨の日と晴れの日で極端な気温差があり、体がついていかないという人が増えています。また、酷暑の時期には室内のエアコンも効きすぎて、自律神経も乱れがちです。そんなときには、薬に頼るのではなく、台所にある“アルミホイル”を使うと、つらい症状を和らげることができますよ」
そう語るのは「アスカ鍼灸治療院」(東京都・五反田)の福辻鋭記院長。施術歴35年以上、これまで見た人はのべ10万人を超えるというベテラン鍼灸師の福辻院長が勧める対処療法が、“アルミホイル治療”だという。
「たとえば、腰痛があるとき、お風呂に入ったりカイロをあてたりすると、温まりすぎてかえって痛みが増幅することがあります。熱の伝導性が鉄の3倍も高いといわれるアルミホイルは体温の熱で無理なく温めるので、痛みの増幅を抑えてくれます。保温効果にも優れていて、冷え性を改善する効果もあります」(福辻院長・以下同)
東洋医学では「気」「血」「水」など生きるために必要なものが流れる道を「経絡」と呼び、経絡の先にツボ(経穴)がある。内臓に異変があると、経絡を通りツボに変化が表れる。アルミホイルをこの経絡上に巻くと、ツボ押しと同じ作用が働くというのだ。
「鍼の素材である金属には、電子を放出してプラスのイオンになろうとする性質『イオン化傾向』があります。鍼を体に通すと、人の体に流れる静電気など発電現象の乱れを改善させます。アルミホイルにも同様に『イオン化傾向』があるとされています。経絡の通り道やツボの上にアルミホイルを巻くと、体の“流れ”を改善し、ツボが刺激されます。それにより、鍼治療と同じ効果が得られると考えられているのです」
用意するのは25センチ幅のアルミホイル。それを5センチ程度に切り、三つ折りにする。それを指輪状にして巻くだけ。
「肩こりがひどいときには、右手の人さし指の第2関節の上に巻き、その先の商陽というツボを刺激しましょう。このほか、下痢や便秘、ガスがたまるなど腸の不調は、右手人さし指の付け根に巻くことで、経絡『大腸経』の気の流れを促進させます。手足の冷えが気になるときは右手小指の爪の根元に巻き、『少沢』『少衝』というツボを直接刺激します。急にのぼせたように汗が出るホットフラッシュが起こる人は、『心包経』という経絡が通る右手中指の付け根に巻くと、滝のように出る汗を抑えることができますよ」