「二世帯同居」と聞くと、恨み骨髄の「嫁姑バトル」や、肩身の狭い「マスオさん」を想像してしまう人が多いが、そんなイメージはもう古い! 親世帯にも子世帯にもメリット満載、令和時代の新しい「二世帯同居」のカタチとは?
「近年では共働き夫婦の増加にともない、親世帯からのフォローを期待した『近居』や『二世帯同居』の割合が増えていますが、ひとつ屋根の下で大家族がわいわい暮らすといった、昭和の“べったり型”同居は、減ってきているという印象です」
こう話すのは旭化成ホームズ株式会社の研究機関である二世帯住宅研究所の松本吉彦所長。ちなみに同社の主力商品である「ヘーベルハウス」が二世帯住宅の販売を開始したのは’75年のことで、「キッチンが2つある間取り」と定義している。
「ひと昔前は、同居するとお嫁さんがいじめられたり、お婿さんの肩身が狭くなるという話がありましたが、最近同居を始めた方では、そうしたケースは少なくなっているようです。おそらく、現在の親世代には核家族の第一世代が多いので、子世帯を尊重する意識が強いのでしょう」
時代の移り変わりによって変化が生じてきたのは、親世帯と子世帯の距離感だけではない。二世帯同居によるメリットも、やはり時代を反映したものになっている。
子世帯のメリットとして代表的なのが「保育園の送迎」「夕食の準備」といった、親世帯による育児サポートだろう。
「遠くに住む親世帯に育児をサポートしてもらっていたが、お互いのメリットを考えて二世帯同居に踏み切った、というケースも少なくありません」
共働き家庭の割合が、専業主婦家庭の割合を上回る現在、働く女性がキャリアを継続していくうえで、親からの育児サポートは何ものにも代えがたい恩恵だといえる。
いっぽう、本格的な超高齢社会を迎え、親世代にとっても二世帯同居のメリットは計り知れない。介護や生活面におけるサポートはもちろん、かわいい孫たちと日常的に触れ合える暮らしは、それこそプライスレスなものだ。
さらに付け加えると、’15年に実施した初期の二世帯住宅居住者への調査では、二世帯同居が孫世代に与えた影響について、「1位・年配者と自然に話ができる」「2位・高齢者に優しい子に育つ」「3位・生活文化や習慣に関心を持つ」という結果も出ている。二世帯同居は親、子、孫の三世代にわたって大きなメリットをもたらしているのだ。
こうして見ていくと、いいことずくめのように思える二世帯同居だが、やはり二世帯住宅というのは、気軽に手を出すには大きな買い物。同居がうまくいかない可能性も考えると、ちょっとしり込みしてしまう……。そんな方におススメなのが中古の二世帯住宅という選択肢だ。
「二世帯住宅というのは、親世代が亡くなった時点で、どうしても一世代分の空きスペースが出てしまいます。お孫さんの世代が新たに住み始めるケースも多くありますが、売却というのも一つの選択肢です。当社では、’99年ごろから中古の自社物件の販売事業も手掛けていますが、きちんとメンテナンスされた中古の二世帯住宅はお買い得だと思いますよ」
二世帯同居を考えている向きにはなんともうれしい情報だ。
結婚、出産、育児や介護を経て親との別れ。変化するライフステージに「二世帯同居」を上手に取り入れていくのが、令和の時代の賢い暮らし方なのかもしれない。