「片づけとは、物を動かしたり、元に戻したり、並べ替えたりすることを指しますが、脳が物事を処理する能力とほぼ同じ働きです。技術の発展に伴い、私たちの生活はどんどん便利になりましたが、一方で、生活がパターン化し、脳の使われる部分が限定され、使われなくなった部分は衰えています。その結果、一人ひとりの処理能力のクセ(得手不得手)が、片づけにも影響しているのです」
脳内科医の加藤俊徳先生はこう話す。著書『部屋も頭もスッキリする! 片づけ脳』(自由国民社)の中では、脳の持つ働きを部位別に明確にし、8つの脳タイプに分類している。ここではそのうち「思考系」脳をピックアップ。「思考系」脳がうまく使えていないとなぜ部屋を片づけられないのか、さらにはそのトレーニング法も紹介。まずは、次のチェックリストを。多くチェックがついていたら、あなたがきたえるべきは「思考系」脳だ。
□つい、大人買いしてしまう
□最近、寝つきが悪い
□いるものといらないものを分別するのが下手
□イライラすると甘いものを食べたりお酒を飲んだりしがち
□行動より先に口が出てしまう
前頭葉の前側にあり、判断力をつかさどる「思考系」脳。ここが衰えると、「主体的に決める」「比較をする」ことが苦手になる。それゆえ、物を捨てることができず、どんどん増えてしまう傾向に。「片づけたいのにどうしていいのかわからない」のもこのタイプ。日ごろから自分の基準をつくったり、自分で決めるクセをつけよう。
トレーニング法は次のとおり。
■財布からお金を出さない日をつくる
思考系脳は意思決定にも関係している。「やるべきこと」と「やるべきでないこと」の判断がしっかりついていないと、不要な物を買って増やしてしまうことも。お金を使わない日を決めることで、自己制御のトレーニングに。
■今日の目標を20字で書く
判断力をきたえるため「20字」という制限をつけた。朝にその日の行動を想像して「やるべきこと、やりたいこと」を書くことで、理解系の脳がきたえられる。また、目標を意識して過ごすと思考系脳が活性化する。
■メニューを瞬時に決める
主体的に決めることが苦手なこの脳タイプの人は、「瞬時に決める」練習が必要。まわりに合わせたり、誰かに言われたからするのではなく、自分は何が欲しいのか、どうしたいのかを「考えて、決める」練習を意識的に行う。
■料理しながら片づけもする
2つ以上のことを同時にすることも、思考系脳をきたえる方法のひとつ。同時進行で複数の料理を作ったり、料理をしながら片づけも済ませるなど、異なる作業を同時にすることで判断力がつき、同時に台所もすっきりする。
■睡眠をしっかりとる
睡眠不足の状態では正しい判断ができない。思考系脳が衰えているときは、睡眠不足であることが多いという。2つの情報を比べるなどの判断力を発揮させるためにも、できれば午後10時、遅くとも11時までに床に就こう。