画像を見る

私たちの悩みは対人関係に尽きています。相手が自分から、こちらの思うとおりに動いてくれれば、ストレスからは解放されることに。それは“伝え方”しだい!

 

「なぜあの人は私の言うことを聞いてくれないのか、どうして私のことをわかってくれないんだろう。そうやきもきした経験は誰にでもあるでしょう。ですが『科学的に人の心を動かす伝え方』を駆使すると、驚くほど人間関係がスムーズになり、誰からも好かれるようになるんです」

 

そう話すのは、これまで600人以上の起業家を育成してきたビジネスコンサルタントの星渉さん。認知心理学や脳科学の知識に基づくビジネスコンサルティングの手法が話題となり、国内だけでなく海外でも講演を行い、今、注目を集めている。著書の『神トーーク「伝え方しだい」で人生は思い通り』(KADOKAWA)は発売1カ月で5万部を突破した。

 

「どんな人間関係でも大事なのは、相手に与える『安心感』と『自己重要感』です。私たち人間は、感情で動く生き物。どんなに論理的に正しいことを言われても、感情が同意しなければ受け入れることができません」(星さん・以下同)

 

そのためには、多くの人が「満たしたいと思っている感情」を満たしてあげる必要がある。

 

「私たちの感情は、本能的な欲求と密接につながっています。アメリカの心理学者のマズローによれば、その欲求は5つ。生命維持のための『生理的欲求』、体と心の安全を守りたい『安全の欲求』、他者と関わりたい『所属と愛の欲求』、他者から価値を認められたい『承認欲求』、能力を発揮して創造的な活動をしたい『自己実現の欲求』です。このうち、『安全の欲求』と『所属と愛の欲求』は安心感、『承認欲求』は、自己重要感という感情で満たすことができます」

 

星さんが考案する会話術は、どのタイミングでどんな伝え方をすれば、相手にこの2つの感情を与えられるのかを、科学的な根拠に基づきマニュアル化したものだ。

 

■親しい間柄でも「相手のことを名前で呼ぶ」

 

親しい間柄だと、「ねえ」「あのさ」などつい名前を省略して声をかけがち。しかし、名前はその人のアイデンティティーの一部でもある。

 

「ですから、人は名前で呼んでもらえると、自分が“その他大勢”ではなく、自分個人として認識してもらえていると感じます。相手の名前を呼べば呼ぶほど、自己重要感は高まります」

 

逆に、ご近所づきあいのある人、同じ職場で働く人の名前をうっかり忘れてしまい、気まずい思いをしたことはないだろうか。そのとき相手は、「自分は覚えてもらう価値がないのか」と捉えている。不用意に自己重要感を傷つけると、その後の人間関係に大きく響いてくる。

 

「たとえばお礼を言う際にも『○○さん、ありがとうございます』と言えば感謝の気持ちが明確に伝わり、相手の自己重要感とあなたへの安心感がアップ。習慣づければ、相手との信頼関係は着実に育っていきます」

 

対面でのコミュニケーションだけでなく、メールやLINE、SNSでのやりとりでも名前を省略しないようにしたい。

 

「とくに女性の場合は、姓よりも名で呼ぶと効果が高いように感じます。女性は結婚により姓が変わる人が多いので、生まれたときから変わらない名で呼ぶほうが、より自己重要感を満たすことができるのでしょう」

 

人の心を動かすには、名前を呼ぶことは最低限の準備と心得よう。

 

■「ありがとう」を口癖にする

 

どんな状況、どんな会話、また相手がどんな立場であろうと関係なく使え、相手の自己重要感を高められる万能の言葉が、「ありがとう」だ。

 

「とにかく、何を言われても反射的に『ありがとう』が出てくるレベルまで、口癖にしてみてください」

 

最大のポイントは、名前とセットで「ありがとう」を言うこと。先に触れたように、名前を呼ぶとその人の自己重要感が高まる効果があるからだ。

 

「『○○さん』と相手が自分の名前を呼ぶ声を聞くと、音声情報として客観的に『○○(自分)は今、感謝されている』ことが明確になり、さらに自己重要感が高まるというメカニズムがあります」

 

「ありがとうはいつも欠かさず言ってるわ」と思う人でも、思い返してみると意外と言える場面を逃しているもの。たとえば、友人から待ち合わせに遅れると連絡があったときなら『○○さん、連絡してくれてありがとう』、職場の上司に注意されたときなら『○○さん、お叱りの言葉ありがとうございます』など。一見、ネガティブなシーンでも捉え方によっては「ありがとう」と言えるものだ。

 

「この機会に、いつもどんな場面で『ありがとう』と言っているのか、またほかにどんな場面で言えそうか、紙に書き出してみるのもいいでしょう。伝えた回数だけ味方が増えると思って、どんな場面でも、何かしら『ありがたいと思う理由』を探してみてください」

 

「ありがとう」と言われ続けた相手は「あなたのためなら頑張りたい」と強く思うようになり、コミュニケーションが円滑になる。

【関連画像】

関連カテゴリー: