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10月12日に上陸した台風19号では、死者が70人を超え、7万4,000棟以上の住宅が損壊や浸水などの被害を受けた(’19年10月25日・消防庁)。また、これまで水害とは無縁と思われていたタワーマンションでも、地下の電気設備が浸水し停電が発生。エレベーターが止まり高層階での孤立や、水道ポンプが動かず断水などの被害があった。この機会に家の火災保険の補償の範囲をチェックしよう。火災保険で台風の被害はどこまでカバーできるのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■マンション住人の火災保険は専有部分が対象

 

被災された方の心痛は計り知れませんが、お金の面では、火災保険で補償が受けられます。ただし、水害補償の付帯が必要ですが、最近、はずす方が増えています。水害補償の付帯率は4年連続低下し、70.5%です(’17年度・損害保険料率算出機構)。

 

たとえ水害補償が付いていても、被害の種類や程度によって補償されないことも。どんなケースが補償されるのか、見ていきましょう。

 

【ケースA】大雨で近くの川が氾濫し、床上浸水した→◯

 

水害による保険金が支払われるのは、(1)床上浸水、(2)地盤から45センチ超の浸水、(3)保険対象を買い直すためにかかる再調達価格の30%以上の被害を受けた場合です。

 

ケースAのように床上浸水なら問題ありませんが、床下浸水だと補償されないこともあります。

 

大雨でマンホールから水があふれる都市型洪水や、近くで土砂崩れがあり土砂がなだれ込んだケースも水害。その場合も保険金は、床上か床下かなどで判断されます。

 

【ケースB】暴風雨で、ガラス窓が割れた→△

 

窓の破損は火災保険がききますが、かけている保険の対象が「建物」か「家財」かによります。

 

建物とは、家そのもののほかに、門や塀、浴槽や流し台、エアコンなども含みます。窓も建物のうちですから、建物を対象とする保険では、補償を受けられます。

 

いっぽう家財は、家具や衣服など持ち物のこと。こうした家財のみを対象とする保険は、賃貸住宅の方の加入が多く、建物である窓の破損は補償されません。

 

【ケースC】ゲリラ豪雨で雨漏り。家具が水浸しになった→△

 

大雨など自然災害が原因の雨漏りは、火災保険で補償されます。ただし、老朽化が原因で屋根の隙間から、雨が染み込んで家具に引水した場合には、保障されません。

 

【ケースD】マンション地下の電気設備が浸水。停電や断水の被害にあった→×

 

マンション住人の加入する火災保険は、住戸部分など「専有部分」が対象です。電気設備は「共有部分」なので、住人の火災保険では補償されません。でも、マンションの管理組合が共用部分の火災保険に入っていれば、保障の可能性も。

 

どの場合も、補償の最終判断は、保険会社によります。被害を受けたら、とりあえず申請してみましょう。その際、被害状況をリアルに伝えるため、写真をたくさん撮っておくといいでしょう。

 

また、被害を受けた方は、税金の減免も受けられます。修理の領収書などを保管しておき、来年の確定申告をお忘れなく。

経済ジャーナリスト

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