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今年の秋は、台風15号、19号、そのうえ、台風21号と低気圧による暴風雨と、前例のない暴風雨被害が相次いだ。被災した人を思うと本当に心が痛むが、こんな非常時に、傷口に塩を塗るような「保険金で修繕詐欺」が横行している。各地の消費生活センターへの相談は、台風15号関連で1,125件、台風19号で197件(’19年10月27日現在)。日に日に増えているという。どんな手口なのか、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■「手続き代行」「無料で点検」…火災保険詐欺被害を防ぐポイント

 

まず詐欺師は、被災した方に「火災保険に入っていれば、自己負担なしで修理できる」と持ち掛けます。そのうえ、「保険金請求の手続きを代行する」と言って、「請求手続き代行契約」や「申請サポート契約」を勧めてきます。

 

被災した方の力になると見せかけていますが、手続き代行もタダではありません。火災保険で補償されなくても、代行手数料を払わせるのが詐欺師の狙いなのです。

 

それに、自然災害による被害は火災保険で補償されるとはいえ、水災補償が付いているかなど補償内容はそれぞれ違います。保険ですべて修理できるとは限りません。

 

また、「古くて傷んだところも台風のせいにして、保険金で直しましょう」などとそそのかすこともありますが、老朽化が原因なら保険の対象外。専門家が見れば、ウソはすぐばれます。結果、保険金がおりなくても、詐欺師は容赦なく修理代金を取り立てるでしょう。

 

また、市の職員と偽ったり、「無料で点検する」と安心させ「このままでは危険」と強引に修理の契約を迫るケースも。ずさんな修理をされてしまうことや、キャンセル料として修理代金の50%などと、法外な請求をされることもあります。

 

こうした詐欺に引っかからないためのポイントが3つあります。

 

【1】その場で契約しない

 

被災すると、ふだんより弱気になり冷静な判断ができないこともあるでしょう。契約は1人で決めず、必ず家族や信頼できる方に相談してから。しつこく早期契約を迫ってくる場合は、詐欺を疑って。

 

【2】自分で保険会社に連絡する

 

保険証券を紛失しても、手続きは可能です。自分で保険会社に電話しましょう。保険会社は無料で査定し、保険が利くかどうかを判定します。修理依頼はその後で。

 

【3】「詐欺かも?」→早めに相談を

 

消費者庁は、「令和元年秋台風関連消費者ホットライン」(フリーダイヤル・0120-486-188)を開設と発表しました。対象は、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡の14都県。

 

それ以外の方は、188(イヤヤ)で地域の消費生活センターにつながります。訪問での契約なら、契約から8日間は無条件でクーリングオフできます。急いで相談を。

 

こうしたトラブルの相談は、10年前から約22倍に急増。相談者の約半数は、70歳以上の高齢者です(’19年・国民生活センター)。高齢の親御さんには、注意するよう声を掛けてあげてください。

経済ジャーナリスト

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