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「1日4分“ちょっとキツい”運動をするだけで、45分間軽めに運動するのと同じ効果を持つエクササイズ法が注目されています。しかも、毎日行う必要はありません。実践すれば、体重や体脂肪率が減るだけでなく、血糖値・血圧改善、認知機能の向上、善玉コレステロール増加などの効果も期待できるんです」

 

“20秒運動して、10秒休む”を8セット。これを週に2〜3日行うだけで、体のあらゆる悩みが解決するーー。著書『世界一効率がいい最高の運動』(かんき出版)が5万部のベストセラーとなった、東海大学医学部で教授を務める川田浩志先生はそう語る。

 

「アスリートたちが実践しているトレーニング方法のなかに、HIIT(ヒット)というものがあります。HIITとは、全速力でのダッシュをはじめとした高い負荷がかかる運動と休息を、短い間隔で交互に行うというもの。私が紹介するエクササイズ法も、HIITの考えにもとづいています。HIITを行うことで、『有酸素運動』の脂肪燃焼効果、『無酸素運動』の筋力アップ効果の両方を超短時間で得られるのです」

 

50代突破をきっかけに体重が増加し、「痩せなきゃ、健康でいなくちゃ……」が口癖になってきた本誌女性記者(55)。だけど、アスリートが日ごろから行っている運動なんて、ぜったいにムリ!

 

「安心してください。一般の人でも、“自分のペース”でHIITを行うだけで、健康促進や病気予防などに効果があるという研究結果が続々と出ているんです」

 

HIITが、アスリート業界に知られるようになったのは、’98年の長野冬季五輪、スピードスケートで金メダルを取った清水宏保選手が練習に採用していたことがきっかけ。HIITは、ほかの運動法と何が違うのだろうか。川田先生はこう話す。

 

「筋肉細胞の中には、『ミトコンドリア』というエネルギーを生み出す器官があります。このミトコンドリアは、体に摂取された酸素を燃料に、たくさんのエネルギーを供給し、健康な体を作り上げています」

 

ミトコンドリアの量と質は、年齢とともに減少・低下していく。

 

「ミトコンドリアの質が落ちてしまうと、老化の加速、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマー病、がんの原因でもある『過剰な活性酸素』が生み出されます。HIITは、筋トレのように筋肉を増やして筋力をアップさせるだけでなく、そこに有酸素運動の要素も加わることで、筋肉のミトコンドリアの数を増やし質を高め、さらに心肺機能も向上させる。健康な体を作るミトコンドリアの働きを高めると同時に、そのエネルギーのもとになる酸素の摂取量も増やすことができるのがHIITなのです」

 

アスリートは、この酸素摂取量や心拍数が最大に達するまで、全力で負荷をかけていくそうだが、一般の人は“ハアハア”と息が上がる程度(全力の70〜80%)の運動でよいという。

 

川田先生の研究のもと実践した40代男性は、ふだんから運動はしておらず体力低下と腰痛に悩んでいた。そこで1日おきに2カ月、HIITを行ったところ……。

 

「その結果、74.9kgあった体重が69.5kgと、5.4kg減少。体脂肪率は、“かくれ肥満”だった24%から18.3%に。過剰気味だった内臓脂肪のレベルも正常値に改善しました。しかも筋肉量は維持したまま。脂肪だけを燃焼することに成功しましたね」

 

川田先生は「50代女性のために」と、こう提案する。

 

「運動の習慣がない50代の女性がHIITを実践するには、スクワットなどのシンプルな動きで、体幹や下半身などにある大きな筋肉を鍛える運動がベスト。基礎体力をつけることで、年齢とともに落ちる代謝量をアップさせ、老化防止も」

 

実践する時間帯は問わないのだとか。

 

「頑張ろうとして毎日やるのは、筋肉疲労を起こしてしまうため、厳禁。また、“サボった”からといって運動量を増やしたりするのもあまり意味がありません。まずは2カ月、自分のペースで続けてみてください。野菜を多めに食べるなど、食事面も改善すると効果アップ。はじめはちょっとだけキツいかもしれませんが、それが効果のある証拠でもあります」

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