履きなれた靴の底を一度じっくり見てみよう。極端なすり減り方をしている場合、それが腰痛や肩こりなど、あなたを悩ませる不調のサインである可能性がーー。
「靴底の減り具合を見ると、姿勢や歩き方などにおける、その人の日常でのクセがわかります。いびつな減り方をしているということは、間違った歩き方をしている証拠。そういう人は体に“歪み”が生じていて、あらゆるところに不調が出てきてしまいます。マッサージに行っても治らないしつこい肩こりや首こり、頭痛、視力の低下、慢性的な疲労感、代謝の低下による肥満、胃痛などの内臓疾患といった不調の原因が、靴底の減り方で診断できます」
そう語るのは、「南青山『足から治療院』Creare」の新保泰秀院長。足のトラブルを抱えて来院する人たちのべ13万人のカウンセリングを通じて、靴底の減り方と不調の関連性がわかってきたという。新保院長が指摘する、靴底の減り方は主に次の4つのパターンだ。
【1】かかとの外側だけが減っている
「脚全体が外にねじれて、ひざの外側や、股関節を痛めやすくなります。骨盤が開き気味になるので、ガニ股やO脚になりやすく、腰痛や肩こり、首こりなどにもつながります。外反母趾や巻き爪などの足のトラブルも起こしやすいのがこのタイプです」(新保院長・以下同)
【2】かかとの内側だけが減っている
「体の重心が、両足の親指からかかとにかかりやすく、たこやうおの目などもできやすい。歩いているうちに足が内側に倒れこみがちになり、それを防ごうと外側の筋肉が体を支えるので、太ももの外側も張った感じになります」
【3】かかとの片側だけが減っている
「歩くときの重心が片寄っているため、かかとの片側だけが減っていきます。この歩き方を続けていると、負荷がかかっているほうの腰やひざに痛みが出やすくなり、骨盤の歪みから血行が滞り、むくみや肩こり、首こりなどからくる頭痛といった症状が起こります」
【4】つま先だけが減っている
「かかとばかりに目がいきがちですが、つま先にも注目してみましょう。つま先に重心がかかっていると前かがみで猫背になり、背筋ばかりが発達してしまい、腹筋が衰えてお腹が突き出る“ぽっこりおなか”の体形になってしまいます。また、常に力んで歩いているので、疲れやすい体になっている可能性も考えられます」
靴底の減りは4つのパターンに分かれるだけでなく、両足のかかとの外側だけが減っていて、なおかつ左右で減り方に差があるなど、複合型のタイプもある。そうなると、よりいっそう不調をきたしやすくなるので気をつけよう。
靴底の特定の箇所だけが極端に減っていないのが理想の状態。そのためには、まずは正しい姿勢で立つ習慣をつけること。無理に背中を反らすのは逆効果で、重心の位置「バランスポイント」を確認してまっすぐ立ってみよう。
「足の裏のかかとの少し前で、内くるぶしと外くるぶしを結んだ真ん中にある『バランスポイント』を意識して立ちましょう。自然と体が一直線になってきます。次にバランスポイントを意識しながら、歩き方に注意します」
【正しい立ち位置】
体の各部位が重力の延長線上に一直線に並んで体重を支えているイメージ。
【正しい歩き方】
踏み出した足を着地するときは必ずひざを伸ばす。かかとの少し前で着地。
「家の中で1日300歩、前に出す脚のひざを伸ばし、かかとの少し前で着地して、足裏はかかとから小指、薬指の順に体重移動させます。このとき、足首、後ろ脚の付け根は伸ばします。体と足首の歪みが改善されると、代謝が上がり、あらゆる不調が解消されてきますよ」
外反母趾の手術を回避できるまで痛みがとれて外出できるようになったという人や、代謝が上がり2週間でウエストが6センチ減ったという人もいるそう!