「食品に表示されている賞味期限は、あくまでおいしさの目安です。多くの食品が工業製品になった現在、その賞味期限にしばられて多くの食品が捨てられています。これを『食品ロス』と呼びますが、まだ食べられるのに捨ててしまうのは、お金を捨てているのと同じことです」
こう話すのは、消費生活アドバイザーの井出留美さんだ。
「食品ロスというと、コンビニ弁当の廃棄など企業の話だと思われがちですが、日本の食品ロス量(約643万トン・2016年農林水産省調べ)のうち、約半分弱(291万トン・同)が、家庭から捨てられたものなのです」(井出さん・以下同)
家庭で生じる食品ロスのおもな原因としては(1)野菜の皮を厚くむきすぎるなど、食べられる部分の廃棄。(2)賞味期限・消費期限切れによる、保管していた食品の廃棄。(3)食べ残し、調理しすぎによる料理の廃棄だという。
「京都市の試算では、家庭の食品ロスを金額換算すると、1世帯4人の場合、年間で6万円相当。1カ月だと5,000円の計算です。つまり、上手にロスを減らすことで、月に5,000円の節約になるわけです」
家庭の食品ロス問題にメスを入れ、具体的な65のワザを紹介した著書『「食品ロス」をなくしたら1か月5,000円の得!』(マガジンハウス)が今、話題を呼んでいるが、そのなかで井出さんが提唱するのは、次の4本柱に代表される。
(1)余分なものを買わない
(2)買ったら、使い切る
(3)今まで食べずに捨てていたものを捨てない
(4)上手に保管する
「家庭においていちばん“危険”なのは、ギュウギュウ詰めの冷蔵庫。これでは消費期限切れの食品があっても気づきませんし、野菜や果物はいつしか傷んでいるかもしれません。冷凍庫の奥には何年か前のお肉が眠っている、なんていう可能性も……。
そこで今回、食品ロスを根絶するアイデアを紹介。
【余分なものを買わない】
■買い物は食後に行くだけでムダ買いが640円減る
おなかがすいていると、どれもおいしそうに見えて買いすぎてしまうもの。アメリカの研究では、空腹時は満腹時に比べ、最大で64%も多く買ってしまうという。満腹時なら、1,000円分買い物をする際、最大640円分の買い控えができる。
■買い物には買う分のお金だけ持っていくと500円以上抑えられる
スーパーでの買い物には、決めた金額しか財布に入れていかない。スマホの計算機を使うなどして上限を意識することで、本当に必要かどうか思案するので、漠然と欲しいものを買うより、500円以上、買い控えできるという。
【賢く買ってロスを出さない】
■「2個買えば割安」でも1個だけ買うほうが200円お得
中学校の家庭科の教科書にも「まとめ買いはムダになりやすい」との記述がある。安売りの魅力を前にして、不要なものを買いすぎてしまうことへの警鐘だ。1個300円のモノが2個500円だとしても、1個を食べきれずに捨ててしまえば200円の損。
■カット野菜や冷凍野菜を活用すれば80円が浮く
“割高”なイメージのあるカット野菜だが、野菜が値上がりしているときは、カット野菜や冷凍野菜を上手に活用するとよい。たとえば筑前煮なら、にんじん、れんこん、たけのこがミックスされた野菜を買うことで、80~400円も割安な場合がある。
■粉ものは卓上ボトルに替えると50円の倹約に
出番の少ない片栗粉や小麦粉は、袋入りを半分しか使い切れずに捨てると50円の損に。その点、卓上ボトルタイプは使い勝手がよく、使い切るのが簡単。酸化しやすいオイルも、小サイズをおいしいうちに使い切るのがおすすめ。
■ケーキはホールよりカットを買うほうが1,000円の倹約に
雰囲気を盛り上げるため、クリスマスケーキはホールで買いがちだが、食べ残してしまうケースが多い。家族3人なら、それぞれの好みに合った340円のカットケーキを3個にすれば1,020円。ワンホール2,000円のケーキより約1,000円節約に。
「これらを実践するほうが、どんなマネー術よりも家計を救います。簡単なことばかりなので、ぜひ取り入れてみてください」(井出さん)
あなたも「脱・食品ロス」で、節約を実感しよう。
「女性自身」2019年12月24日号 掲載