家計簿をつける最大のメリットは「何にどれくらい使っている?」という“家計のいま”がわかること。そして、「この先、何が起こる?」を知っておくことは、“家計の未来”に向けての備えとなるのです。
「安部首相が’12年にアベノミクス政策を提唱して以降、物価は上がり続けています。その上がり幅に賃金上昇が追いつかず、『実質賃金』はマイナスを示す月が多かったのですが、’19年に入って以降は、会社(雇用主)から支払われる賃金額を示す『名目賃金』もマイナスを示す月が増えました。この流れは’20年も変わらないでしょう。1月の『所得税法改正』で年収850万円超のサラリーマンは増税となり、4月の『同一労働同一賃金』施行によって各種手当は順次カットされ、『働き方改革関連法』の中小企業への適用により、結果的に残業代は減ることになる。さらに東京オリンピック後に懸念される“五輪後不況”の影響など、『1年間を通してのお金の動き』を見通しておくことが必要です」
’20年の社会とお金の動きについて、こう語るのは、経済評論家の加谷珪一さん。さらには、マクロ経済スライドの再発動で、年金が「実質的に減額される見通し」だという。まさに八方塞がりの状況にダメ押しするように、経団連の’20年春闘方針も発表されたという。
「中西宏明会長が『終身雇用などの日本型雇用を見直す方針』を打ち出しました。つまりこれは『終身雇用制度の終わりの始まり』宣言です。こうなると春闘の争点は。賃上げどころではなくなります。’20年は夏冬のボーナスも、期待できそうにありません」
これまでの夫の頑張りは認めてあげたいものの、終身雇用は保障されなくなるし、いまもらえている給料も、今後は当てにならなくなりそうだ。
そんな絶望的な1年に向けて、加谷さんは「発想の転換」と「新しい試み」のヒントをくれる。
「政府は『一億総活躍社会』とうたって、65歳以上も働くことを前提に、年金支給システムの改訂や医療費の負担増など、国民が『もらえるお金』を減らし、『負担額』を増やしていくでしょう。その流れは超高齢社会では変わりようがありません。そこで、夫婦そろって『長く元気で働き続ける人生』を再設計しましょう。夫は定年後も再就職や自営などで“次の姿”を描き、これまで専業主婦だった妻も、アルバイトやパートをして、徐々に働くことを始めていくべきです。同時に、年金による老後保障を減らす代わりに政府が打ち出している、『つみたてNISA』などの投資にもトライを。定年までコツコツ続ければ、運用テクニックも格段に磨かれるはずです」
’20年を「主婦もバリバリ働く」「投資を始める」元年にするのが、家計を守るためには必要だ。
「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載