「医学の進歩で、これまで難治性といわれていた病気も、改善されるケースが出てきています。認知症に関しては未知の部分がいまだ多くありますが、生活習慣の改善によって予防できることがわかっています」
こう話すのは、アンチエイジング医療の第一人者で、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。
認知症は大きく分けて、脳梗塞など血管障害によって脳細胞神経が死滅することで起こる脳血管性認知症と、脳に蓄積したアミロイドβが脳神経細胞を壊すアルツハイマー型認知症の2つがある。
このうち約8割はアルツハイマー型認知症。このアルツハイマー型こそ、生活習慣の改善が予防につながる部分が大きいという。
「認知症の原因となるアミロイドβは、発症の20〜30年前から蓄積し始めるとされています。予防対策は早ければ早いほどよいと思いますが、40歳を過ぎたくらいから意識をし始めるとよいでしょう。そういう意味でも、年末年始はそれまでの生活習慣を見直すのによい機会ですね」
そこで白澤先生が、認知症にまつわる2択クイズを出題。健康寿命を目指すための知識を取り入れて、2020年をもっとイキイキ過ごそう!
【Q1】階段使用時、脳を活性化させるのは?
上るとき or 下りるとき
正解は、下りるとき。「階段の上り下りは脳の活性化によいことですが、加齢と共に難しくなる下りのほうがより効果的です。下りで転倒が多いのは下りのときに使う白筋が衰えているため。転倒は骨折→寝たきりにつながり、認知症の進行も早めてしまいます。下るときこそ階段を」
【Q2】年末年始の家事、脳をより働かせるのは?
掃除 or 料理
正解は、料理。「全身を使う掃除もよいのですが、料理ほど頭を使う家事はありません。特に年末年始は料理の品目が増えます。材料の配分、同時進行で異なる料理を複数品目作る手順、味付けや盛り付けなどさまざまなことを考えるため、脳もフル回転します」
【Q3】集まりの多いこの時期。腹が立つことがあったら?
遠慮せずグチる or 仕方ないけどガマン
正解は、遠慮せずグチる。「ストレスをためると脳の神経細胞が壊れて記憶力が低下します。認知症予防にはストレスをためないことが大切です。そのためにも、ムカッとしたときはその場で話してしまってもいいかもしれません。もちろん、きちんとフォローすることも忘れずに」
【Q4】認知症になりにくいのは?
昔のことを忘れない人 or 忘れっぽい人
正解は、忘れっぽい人。「記憶力がよいからボケないというわけでもありません。明るくポジティブな人のほうが、結果的に認知症になりにくいようです。つらい記憶はときとしてストレスとなり、脳細胞を傷つけ認知機能を低下させます」
【Q5】昼食後、脳にやさしいリフレッシュ法は?
ウトウト昼寝 or 近所をぶらりと散歩
正解は、近所をぶらりと散歩。「『昼寝に効果アリ』というデータもありますが、それが1時間以上になるとかえって逆効果になるという研究結果も。認知症予防には散歩がベター。体を動かすことで血流が促進され、脳の血流も増えますし、五感を使って脳に刺激を与えることもできます」
【Q6】就寝時間が不規則で眠れないときは?
無理せず、眠くなるまで待つ or 早めに布団に入りなんとか眠る
正解は、無理せず、眠くなるまで待つ。「睡眠の質は脳の疲労回復にも関係しますが、認知症予防には特に重要です。ただ、眠くないのに無理に寝ようとすると、逆にストレスが増し、目がさえて眠れないことも。『眠気がきたら寝よう』くらいに考えたほうが入眠しやすく、睡眠の質も上がります」
また、生活習慣の改善で白澤先生が特におすすめするのが運動と食事だ。運動によって筋肉を動かすことで血流を促し、脳の活動を活発にする。さらにバランスのとれた筋肉をつくることが、認知症予防にも関係するという。
「脳の活性化によい食べ物というのもわかってきています。野菜には抗酸化物質が含まれているものが多く、全般的におすすめしますが、あまり火を通さず、栄養素を壊さないで食べるのが理想的です。さらに、味付けは薄め、糖分は控えめを心がけましょう」
「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載